前回、オンライン診療について説明しました。
そこでも少しだけ書きましたが、今までのオンライン診療は保険適応できる疾患に制限がありました。
たとえば食物アレルギーは、今までのオンライン診療では保険適応外でした。
それが、2020年4月10日に厚労省から発表された「時限的・特例的対応」によって、疾患制限がなくなりました。
食物アレルギー診療も、保険診療としてオンライン診療を受けられるようになったのです。
今回は、食物アレルギー診療をオンラインで行うメリットについて考えてみます。
受診控えと食物アレルギー
「不要不急の外出の自粛を」と言われ始めた日がずいぶん昔のことのように感じます。
2020年8月現在も、新型コロナウイルス感染症の影響は続いています。
病院の受診を控えようと考えている人も多いのではないでしょうか。
食物アレルギーのお子さんは、「必要最小限の除去」が継続できているか確認するために定期的な受診が必要です。
食物アレルギー診療において「必要最小限の除去」はとても大切で、一部の食物では少量のアレルゲン摂取でアレルギーの程度が軽くなったという報告があるためです。
「必要最小限の除去」は本当に食物アレルギーの予後を改善させるのか?に書きました。
逆に、不必要な除去をしてしまうとアレルギーが悪化するという報告もあります。
食物アレルギーの子どもを持つ保護者にとって、食べても問題ない程度にいろいろ食べさせるという行動は、とても勇気がいることですし、また注意と労力が必要です。
医師が定期的に確認し、保護者の不安を汲み取り、適切にアドバイスし、場合によっては褒めるということは、「必要最小限の除去」の継続を少なからず支えていると私は思っています。
新型コロナウイルスによる受診控えは、こうした医師と保護者のコミュニケーションを奪ってしまいます。
必要のない除去まで行われたり、または不適切なタイミングでの増量からアナフィラキシーのリスクに繋がったりするかもしれません。
また、万が一誤食してしまってアナフィラキシー症状が出たときに備えて、アドレナリン自己注射薬を持っているケースもあるでしょう。
アドレナリン自己注射薬の使用期限は約1年間ですので、1年に1回は処方を受けなければなりません。
しかし、受診控えのためにアドレナリン自己注射薬の使用期限が過ぎてしまっていたら。
いざ、使おうとしたときに使用できないという状況は、大きなリスクといえるでしょう。
「時限的・特例的対応」により、食物アレルギーもオンライン診療を受けられる
お子さん、そして保護者の方が安心して薬剤の処方を受けられるよう、電話やオンライン診療による医薬品の処方条件が2020年4月10日に時限的措置として緩和されました。
これにより、「必要最小限の除去」を継続するためのアドバイスを定期的に受けられるようになりました。
また、期限が切れる前に電話やオンライン診療でアドレナリン自己注射薬を処方してもらえるようになりました。
電話やオンライン診療を実施している病院は、厚生労働省のホームページで検索することができます。
分かりやすい動画もあります。
今回のブログの主旨が、たった50秒でわかります。
さらに簡潔にまとめているサイトもあります。
アナフィラキシーなんて起きない方がいいに決まっています。
ですが、どれだけ気を付けていても誤食は起きえます。
アドレナリン自己注射薬は、万が一のときの補助治療剤です。
受診控えしている人も、アドレナリン自己注射薬の使用期限をぜひ確認してみてください。
期限が切れている場合は、すみやかにかかりつけ医に連絡してください。
かかりつけ医がオンライン診療をしている場合は、対面受診しなくても処方が受けられるかもしれません。
上記はマイランEPD合同会社の依頼で書いたPR(記事広告)です。
Source: 笑顔が好き。
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