最近病院の待ち時間についての週刊現代の記事が話題になった。
週刊現代8月11日号の連載「それがどうした」で、伊集院静氏はこう綴っている。
〈小娘に舐められ、挙句、支払いでまた待たせられて、人間に対する扱いではない。どこの大学病院とは書かぬが、新橋のG恵大学病院の関係者よ、こういうやり方を当たり前と考えているなら、天罰が下るよ〉
伊集院氏は、目の治療のため診察に訪れたところ、いつまでたっても受け付け番号を呼ばれず、結局1時間45分も待たされたという。
この記事がSNS上で炎上しまくりだった。週刊現代の炎上商法だったとすれば大成功である。
病院の待ち時間についてはメディアでもよく話題に上がる。
今回は待ち時間対策について考えてみる。
患者満足度と待ち時間の関係
患者満足度に直結するのが待ち時間だという。
しかし病院にとっては待ち時間を減らして患者満足度を上げるメリットはあまりない。
外来患者をたくさん診てもあまり利益は上がらないからだ。
むしろ外来患者は減らして、入院患者を増やす必要がある。
そのため外来患者はなるべくクリニックへ行ってもらい、入院につながりやすい救急医療に力を入れている病院がほとんどだと思う。
「待ち時間が長すぎるから近くのクリニックに行こう」と思ってくれたほうが、病院にとっては都合が良い部分もある。
クリニック経営と待ち時間
でもクリニックでは来院した患者の数が利益に直結する。
そのためクリニックにおいては患者満足度がとても大切である。
そこで「待ち時間が短い」ということがクリニックの売りの一つになる可能性がある。
ホリエモンも著書の中で病院の待ち時間について苦言を呈している。
伊集院氏と違うところは具体的な改善策についても言及しているところ。
病院の時間効率の悪さは相変わらずだ。キャパシティの問題もあるだろうが、システムによって相当改善できると思ったのも事実。
改善策を考案する病院専門のシステムコンサルティングはないのだろうか。
受付→診察→処置→会計までのオペレーションを徹底的に工夫すれば、多少は待ち時間の短縮ができるんじゃないだろうか。
クリニック経営の本を読んでも、オペレーション改善の重要性が書かれている。
オペレーションの改善は、できるだけ患者さんをお待たせしないというところに、スタッフ全員が意識をもっていくことがポイントです。
他のクリニックでは、どのような動線をとって、どのような形で患者さんと接しているのかといったことを参考にすることで、自分のクリニックのハードの手直しのヒントを得ることが可能です。
予約制の導入は是か非か?
また待ち時間対策として挙げられるのが予約制。
ホリエモンは予約のネット化を要望している。
予約をネット化してほしい。あいている時間を会員登録した患者が入力できるように。変更も楽にできるように。それと遅れそうなら事前にスマホに連絡してくれたりとか。
しかし予約制はうまくいかない場合も多いそうだ。
時間対策でもっとも身近なものとして思い浮かぶのは、予約制であろう。ところがうまくいっていない対策のトップが「予約制の導入」であったという調査結果が発表されている。
予約制がうまくいきにくい理由は「予約すると待たなくてよいという期待感が生まれる」からだという。
患者がイメージする待ち時間
予約なし | 予約あり | |
クリニック | 36分 | 20分 |
病院 | 74分 | 39分 |
予約制によって待ち時間へのクレームが逆に増えてしまう可能性がある。
個々の診療時間が想定しにくい診療科は、時間予約ではなくて順番予約にするなどの工夫が必要になる。
- 時間予約⇒診察の開始時刻を事前に指定して予約する
- 順番予約⇒診察の当日に番号を取得して、番号順に診察を行う
皮膚科、耳鼻科、眼科などは順番予約、歯科、産科、精神科などは時間予約が適しているそうだ。
でも待ち時間がゼロではいけない
しかし待ち時間が短ければ短いほどよいかというと、そういうわけでもないようだ。
まったく客がいなくて待ち時間ゼロの店は、入った客が不安になってしまう。
知らない町で昼食にラーメンを食べようとしたとき、だれもお客さんがなく「しまった失敗した」と思ったことのある人も多いだろう。
客の期待値が上がるためには、多少は待ち時間があったほうがよいという。
多くの人は、待ち時間がゼロの診療所よりは、待ち時間30分~60分の診療所の方が好印象であると考えることができる。
ラーメン屋の行列の長さが味のバロメーターになるように、医療においても待ち時間の長さから医療技術の高さを判断している。
クリニックがまったく流行らなかったら、自然と待ち時間はゼロになる。
待ち時間対策が必要になるクリニックは幸せなのかもしれない。
なかなか難しいところである。
▼待ち時間を減らす診察法▼
皮膚科は薄利多売である。
皮膚科診療は単価が低いため、開業皮膚科医はたくさんの患者をみる必要がある。
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Source: 皮膚科医の日常と趣味とキャリア
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