投資で最も大事なのは出口戦略だという。
始める前に出口をイメージしておくことが成功のポイントである。
クリニックでも同様のことが言えるのではないか。
まだ開業もしていないのに出口を考えるのは早すぎる気もするが、知っておいて損はない気がする。
今回はクリニック開業の出口戦略について。
クリニックのリタイアのしかた
どうやってクリニックをリタイアするか。
一般的にリタイアのパターンは4つあるという。
- 廃業
- 親族継承
- 従業員継承
- 第三者への売却(M&A)
>>中小企業の将来の戦略としてM&Aという道を模索してみよう!
最も避けたいのは、後継者がいないのでリタイアできないという状況である。
しかし親族継承や従業員継承は不確定要素が大きい。
親子継承へのこだわりが強すぎると、往々にして親子関係がギクシャクしてしまいます。進路選択を強制され、自分の人生設計に口出しされた子は、当然のことながら親への反発や不満を抱えることになるでしょう。
となると廃業かM&Aという選択肢が残る。
金銭的なことを考えるとM&Aが理想的ではある。
ベンチャー企業などでは、会社を大企業に売却して大金を手にすることが起業の目的なのだという。
起業することの最終的な目標は「会社を売却する」ことだ。会社を立ち上げ、成功させ、売却することで十分な報酬を得るのである。
クリニックでもそんなゴールを考えられるのかどうかを検討してみる。
クリニックのM&A
M&Aによるクリニックの売却価格は以下のようになるそうだ。
クリニックの売買価格 = 不動産価格+設備資産価格+営業権
戸建て開業であれば不動産価格もある程度の額になるが、M&Aにはテナント開業の方が有利とのこと。
売りクリニックM&Aでは、不動産無しの方がメジャーであることです。賃貸の方が初期費用を抑えられる関係で好まれるようです。
となるとキモになるのは営業権(のれん代)である。
のれん代はクリニックの年間の利益が基準になるという。
まず、基本になるのは「年間の利益」となります。基準金額に調整係数(1~2)を乗じて算出したものを営業権とし、当該金額に事業用資産の残存価値を加味して譲渡代金とする方法が一般的であります。
医業収益1億円のクリニック(ウハクリ)でも営業権は2500万~5000万。
これに税金がかかるため手取りはもっと少なく、あまり期待はできないようだ。
育てたクリニックを売却して大金を得るという戦略は難しそうだ。
事業の目標を立てる
またもう一つ考えておきたいのは、出口に至るまでの「事業の目標」。
クリニック経営でいくら資産を増やしたいのかという目標である。
最初に、人生の目標を達成するために、事業がどんな役割を果たすのかを考えなければならない。それが事業の戦略的目標である。
戦略的目標をつくる際にはお金が重要な問題となる。「人生の目標を達成するためには、どれくらいのお金が必要だろうか。」
お金に関する基準を設けることは、事業のためだけでなく、人生設計にとっても必要なことなのだそう。
経済的独立のための資産形成の目標額は金融資産1億円と言われている。
1億円以上の資産形成をクリニック開業のとりあえずの目標としてみる。
皮膚科開業医の年収がどれくらいになるのかを計算してみると
- 患者数47人→年収1000万
- 患者数63人→年収1500万
- 患者数78人→年収2000万
- 患者数110人→年収3000万
年収2000万だと手取りは1200万くらい。
1/2の600万ずつ資産が増えたとすると、1億円まで最短でも17年。
ここに大きな出費(教育費、住宅費)が加わると、もっと期間は長くなる。
とてもじゃないがアーリーリタイアは無理そうだ。
飲食店においては、年収2000~3000万程度なら一店舗でもよいが、それ以上であればチェーン展開が必要だとホリエモンは語っている。
飲食店で儲けたいと思っている人から相談を受けるとまず思うのが、着地点をしっかりさせておいてほしいということだ。
年収2000万円から3000万円くらいを目指すなら一店舗のみのカレー屋をやればいい。
年収何十億というレベルを目指すなら、アメリカで焼肉レストランチェーンをやったらどうだろう。
クリニックも同様に一店舗で稼げる額には限界がある。
より大きな資産を得るには分院を出して規模を大きくするしかないのか。
その分リタイアはしにくくなりそうだが…。
結局「医師をしながら副業をする」というのが資産形成の最適解なのかもしれない。
医師の経済的自由-豊かな人生と理想の医療を両立できる第3のキャリアパス
Source: 皮膚科医の日常と趣味とキャリア
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