これまで大学院、研究関連の記事をいくつか書いてきた。
今回はそれらの記事をまとめてみる。
なぜ学位を取るのか?
自分が大学院へ進んだ理由は3つ。
- 純粋に研究をやってみたい
- 出世を目指す
- 臨床能力の向上
新しい発見をしたい。純粋に研究をやってみたい。
そんな気持ちがあるならば大学院に進学するべきである。
しかしそのようなモチベーションだけで研究をやっている人は案外少ないのかもしれない。
出世を目指す
大学での出世を目指す王道キャリア。
そのために最低限必要な肩書きは3つ。
専門医を取り、大学院で研究を行い留学をする。
- 専門医
- 学位
- 留学歴
学位なしに出世の道はないので、大学院進学はマストである。
医者としてどんなキャリアを描けばいいのか。
最初はなかなかイメージがつきにくいと思う。
そんな医者のキャリアパスの一つを具体的に解説した本が「若手医師のためのキャリアパス論」である。
「キャ…
臨床能力の向上
学位のために研究をすることで副次的に臨床能力も上がる。
そんな言葉を聞くことがある。
しかし資産形成の面では、稼ぎ時の20代後半から30代前半の4年間無給になるというのは不利になる。
もし早くお金を稼いで経済的独立、アーリーリタイアを目指すならば、大学院へ進学するのはやめたほうがよい。
だが研究をした経験は間違いなく臨床で役に立っている。
資産形成に不利になる点を度外視すれば、「研究を通して得ることができるスキル」のために学位を取ることに損はないと思う。
医者の研究離れが進んでいるという話はよく聞く。
今回、自分の経験(地方の皮膚科医が大学院で学位を取得するまで)を踏まえながら医学博士のメリット、必要性について考えてみた。
博士号のデメリットとは?
学位は「…
大学院で学んだこと
自分が研究から何を学んだか、具体的に思いつくことを挙げてみると
- プレゼン力
- 英語で論文を読む力
- 問題解決能力
- 研究に対するコンプレックスがなくなる
プレゼン力、情報収集力、問題解決能力などは分かりやすいところである。
そして一番大切かもしれないことはコンプレックス。
研究を自分でやってみる前は、研究をしている人たちに対してコンプレックスがあった。
「あいつらよくわからんけど何か賢そうやな…」と。
しかし実際に自分でやってみると、大したことないなと分かるようになる。
学歴もそうだが、コンプレックスの克服は意外と重要なことである。
前回(今の時代の医師に学位が必要なのか考えてみた)、学位は必要性はないがメリットはあると書いた。
バイオ系の博士号を持ったポスドクも在籍していて、彼らから学ぶものも多かったように思う。
今回、自分が研究から何を学んだか、…
大学院の実際と挫折
学位取得までの道のり
大学院生にはそれぞれ研究の指導を行ってくれる指導教員がつく。
(まあ指導とは名ばかりで、自分の研究ための雑用をさせるわけではあるが)
自分の指導教員は、次期教授と言われていた実力派の講師A先生。
そこで基礎研究に対する好奇心と共に、将来のキャリアに対する期待感も出現する。
ここで実績を残して次期教授の片腕になれば将来は安泰だ。そう考えて日夜実験に励んだ。
すべては順調・・そう思っていた頃に異変が起こる。
今回は自分の大学院の時の話。
学位(医学博士)の取得法には2つある。
4年の大学院を卒業して取得する課程博士「甲」と、論文だけで取得できる論文博士「乙」である。
研修医のときに様々な科の医師と出会い…
研究に必要な能力
研究で一番大切なのは、「重鎮の先生方に顔を覚えてもらい仲良くなること」。
そんな指導を受けた。
学会で一番重要なのは懇親会なのだ、と。
実際、これは間違っていなかった。
アカデミアとは、どれだけ人脈を広げていくかを競うゲームだったのだ。
十数年前、国家試験に合格したくさんの医学知識を携えて始まった研修医生活。
しかしそこで直面したのは非情な現実だった。
点滴のオーダーのやり方すらもわからない状態で投げ出された内科の病棟。
医学知識なんてまっ…
価値を生まない研究
研究とは新たな価値の創造。
研究を始める前はそんなふうに思っていたこともあった。
しかし現実は何の価値も生まない「後追い実験」に終始するだけであった。
そして研究に対する純粋な興味は徐々に薄れていった。
かつて自分にも基礎研究を行っていた時代があった。
色々なことを学べる良い機会であり、研究に関するポジティブな側面を記事にした。
しかし今は研究には携わっておらず、その理由も記事にした。
…
パワハラについて
アマゾンの創業者ジェフ・ベゾス。
彼が超合理的に意思決定を行えるのは、「共感の能力が一部欠けているから」ではないかと言われているそうだ。
そして公の場では魅力的な人物だが、一度キレると手が付けられないほど部下をしかり飛ばす。
自分も研究の世界でそんな人間に出会うことになる。
かつて自分もパワハラのようなものを経験したことがある。
特殊な体験だと思っていたのだが、似たような話が書かれた本があったので紹介したい。
アマゾンの創業者ジェフ・ベゾスを描いたノンフィクションである。
…
オススメの本
関連記事>>地方の皮膚科医が大学院で学位を取得するまで
研究にはトラブルが付き物である。
単純に実験がうまくいかないということもあるし、指導教官と…
まとめ
今回は大学院、研究関連の記事をまとめた。
そして学位を取得した後は管理職として勤務したわけだが、そこで学ぶことも多かった。
次回は管理職編の予定。
Source: 皮膚科医の日常と趣味とキャリア
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