日本糖尿病学会が長らく推奨してきた『高糖質 カロリー制限食』は
- 炭水化物=60%が最適というエビデンスは存在しない
- ユネスコの無形文化遺産は,『和食が健康食である』と推奨したわけではない
と,論拠が大きく揺らぎ始めました.それに加えて;
カロリー設定も不適切だった
そして,決定的になったのは,食品交換表のもう一つの柱=『カロリー制限』です.
糖尿病で入院された経験のある方は,病院で出された食事が あまりにも寂しい(ご飯だけは山盛りなので いっそう目立つ)ことに驚いたでしょう.
しかし,従来の日本糖尿病学会のスタンスは;
健康人の標準的な1日所要熱量に比較して糖尿病では約10%低い.食品交換表は世界でも類をみないほど先輩が長年に亘り検討を重ねたもので,2型糖尿病は60~70代が最も多く,悪しき生活習慣によって惹起された症例が殆どである.
2013年 日本病態栄養学会 MeetExpert3-1
と講演でも述べられていた通り,『糖尿病患者の消費カロリーは健常人も10%ほど少ない』→『だから 食事療法で低カロリーを設定するのが当然だ』という考えでした.
ところが,これがとんでもない誤りであったことが,厳密な測定により証明されたのです.
CLEVER-DM Studyという研究で,二重ラベル化水(Doubly Labeled Water)という方法で厳密に測定したところ,健常人と糖尿病患者とでは,エネルギー消費量にまったく差がないことが明らかになりました.
日常活動度が同じなら,糖尿病患者の消費カロリーは,健常人の消費カロリーと何ら変わらなかったのです.
それなのに『糖尿病患者』=『肥満』=『運動不足で過食だから』という決めつけから,
【普通の日常生活を送っている糖尿病患者に『寝た切り』の人並みの低カロリーを強要していたことになる】
第60回 日本糖尿病学会のディベート4
北里大学北里研究所病院 山田悟/糖尿病センター長
というわけですから,間違いでは済まされないレベルです.糖尿病の病院食に『これでは お腹がすいてたまらない』という患者の訴えは正しかったのです.
これによって,従来の低カロリー制限食は,一気に根拠の土台が崩れてしまいました.
ここに至って,典型的な『1600kcal 炭水化物60%の糖尿病食』を患者に一律に適用する根拠はもはや何もなくなりました.
この記事にも書きましたように;
日本糖尿病学会が2013年3月に発表した『提言』で,『糖質制限食にはエビデンスがない』と強調したことが,正にブーメランになって返ってきたのです.
『エビデンスのないものは推奨できない』というのであれば,『カロリー制限食』も推奨できないことになります.
[51]に続く
Source: しらねのぞるばの暴言ブログ
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