インスリン抵抗性を考えてみました[6] 単純肥満性糖尿病が『治る』ワケ

健康法

HOMAのグラフは,Ahlqvist分類で,MOD (=Moderate Obesity Diabetes:軽度肥満糖尿病[※])が なぜ比較的 『簡単に治る』のかも説明してくれます.

[※] 私はこれを『単純肥満性糖尿病』と呼んでいます

空腹時血糖値が140と高い Aさん,しかし 空腹時インスリンも25と高く,HOMAから見積もられる インスリン抵抗は 8.0(=S=12.5%の逆数)です.肥満型糖尿病の典型です.

しかし,Aさんの インスリン分泌能は正常(=βが100%)なので,何らかの手段で このインスリン抵抗性を解消できれば,

β=100%の線に沿って(),速やかに血糖値が下がると期待できます.単純肥満型糖尿病は,多少でも肥満を改善すれば,速やかにインスリン抵抗性の改善に結びつくのです.
だからこそ Ahlqvist博士は,単純肥満性糖尿病を Moderate[軽度の]と命名したのでしょう.

もっと極端な Bさんの例を考えてみましょう,

Bさんは,インスリン抵抗性=16(S=6.25%の逆数)と極端に高い値です.しかし,このインスリン抵抗性を正常レベルにまで落とさなくても,4(S=25%の逆数)に落とすだけで,劇的に血糖値は下がるでしょう, なぜなら β=200%と人並み外れてインスリン分泌能が高いからです. これは架空の計算ではなくて,この記事で紹介したように,実際にも 存在する症例です.

一方 インスリン分泌が弱まったために(β=12.5%と健常人の1/8)血糖値が上がってしまったCさんの場合は,上記の肥満型のようにスンナリとはいきません. 既に インスリン感受性は十分高い(S=100%;インスリン抵抗性はない)ので,マージンがないのです.したがって,これ以上β細胞機能を疲弊させないようにすることが 何よりも重要となります.

[7]に続く

Source: しらねのぞるばの暴言ブログ

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