飛行機に乗る段階になると
「妊娠中の方や小さいお子さんを連れている方は優先的に飛行機にご搭乗ください」
なんてアナウンスがありますね。
これはおそらく、妊婦さんを長い間立たせたくないという航空会社の配慮によるものでしょう。
しかしそもそも、妊娠中の女性が飛行機に乗ることは問題ないのでしょうか?
航空機内に存在する不確定要素
飛行機の中には、地上と異なる要素がいくつも存在しています。
例えば離陸・着陸時の加速度変化は、日常生活ではあまり経験することはないでしょう。
また航空機の中では常に雑音がしていることになるかとおもいます。
そのほか気圧が若干低かったり、ごくごく微量ですが、飛行機に乗ることによる被曝もあります。
では妊娠している状態で飛行機に乗る事は、体に悪いことなのでしょうか。
妊婦が飛行機に乗っても大丈夫なのか?
Medpeerが運営してるサイトに、その答えの一端がありましたのでご紹介します。
結果的には医者のあいだでも、見解が別れているようですね。
本調査では、妊娠期間中でも「主治医が許可すれば、飛行機に搭乗してもよい」とする意見が最も多く、次に「妊娠の時期に注意すれば、自己判断で飛行機に搭乗してもよい」が続きました。
一方で、2割近い医師が、「飛行機搭乗はやめたほうがよい」とあり、医師のなかでも見解がわかれるところのようです。イシコメ 妊娠中は飛行機に乗っても大丈夫?産婦人科医150名に聞きました
上記サイトの結果を見ると、体調が問題なければ妊娠中も飛行機に乗ってもOK!とする医師が多いようですね。
論文紹介
AJP Rep. 2018 Apr;8(2):e71-e73. doi: 10.1055/s-0038-1641584. Epub 2018 Apr 16.
Transatlantic Air Travel in the Third Trimester of Pregnancy: Does It Affect the Fetus? Petrikovsky B1, Terrani M2, Sichinava L3.Transatlantic Air Travel in the Third Trimester of Pregnancy: Does It Affect the Fetus? - PubMedMost commercial airlines allow pregnant women to fly up to 36 weeks of gestation. Available information suggests that noise, vibration, and cosmic radiation pre...
というわけで、妊娠と飛行機に関して、論文をひとつご紹介しましょう。
2018年にアメリカとロシアから出されている論文で、妊娠後期(妊娠28週から40週まで)に、大陸間移動を伴う航空機に搭乗することの影響について研究されています。
結論には以下のような記述があります
Our study demonstrated that although transatlantic flights may cause only temporary changes in fetal behavior and appears safe for the fetus, these conclusions are limited to third-trimester fetuses.
要約しますと、胎児の動きに一時的な変化はあるかもしれなが、どうやら安全そうである、と結論づけられています。
なんとも歯切れの悪い結論ではありますが、上述の通り多くの医師が大丈夫と考える傾向を補完しているようでもあります。
ただしこの論文は妊娠後期だけの妊婦を調べた研究であり、妊娠初期や中期の胎児における影響についてはあまり調べられていません。
まとめ
以上、妊娠と飛行機の関連について調べてきました。
結局のところ妊娠における飛行機の搭乗が、すごく悪影響であるという確立された結果はないようですね。
もちろんつわりがひどいとか、安静が必要であれば飛行機に乗るのは避けるべきですが、絶対に避けなければならない、というわけでもないようです。
Source: 医者夫婦が語る日々のこと、医療のこと
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