前回のつづき
抗ヒスタミン薬にはたくさんの種類がある。
蕁麻疹に対する抗ヒスタミン薬についての記事はいままでいくつか書いてきたが、今回決定版を作成したいと思う。
使い分けのポイントは2つ。
効果
副作用
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抗ヒスタミン薬にはたくさんの種類がある。
蕁麻疹に対する抗ヒスタミン薬についての記事はいままでいくつか書いてきたが、今回決定版を作成したいと思う。
使い分けのポイントは2つ。
- 効果
- 副作用
今回は前回の内容(副作用)を踏まえて、効果の面から使い分けを考えてみる。
(エビデンスレベルの高いものではないので、あくまで参考程度に見てください)
効果の比較(通常量)
基本的に抗ヒスタミン薬の効果には個人差があり、薬剤間の優劣はないとされている。
だからどれを使っても変わりません。。と言ってしまうとそこでおしまいでブログに書く意味がない。
そこで抗ヒスタミン薬の比較の論文を探してみる。
①クラリチン、ジルテック、デザレックス
一番エビデンスレベルが高いデータはメタアナリシス。
蕁麻疹に対する抗ヒスタミン薬のメタアナリシスも存在する。
Cochrane Database Syst Rev. 2014(11): CD006137.(PMID: 25397904)
論文ではクラリチン=ジルテックとクラリチン=デザレックスが示されている。
- クラリチンvsジルテック RR 1.05(95%CI 0.76-1.43)
- クラリチンvsデザレックス RR 0.91(95%CI 0.78-1.06)
これはかなり信頼できるデータと言えるだろう。
②ジルテックvsザイザル
その他の研究は単発のものしかないので、エビデンスレベルは低くなる。
まずジルテックとザイザルの比較試験。
Journal of clinical dermatology, 32(8): 477, 2003
ジルテック=ザイザルが示されている。
③ビラノアvsザイザル
次にビラノアとザイザルの比較試験。
Allergy. 65(4):516, 2010(PMID: 19860762)
ビラノア=ザイザルが示されている。
④ジルテックvsアレグラ
最後にジルテックとアレグラの比較試験。
ジルテックがアレグラよりも有効だったようだ。
J Dermatolog Treat. 15(1): 55, 2004(PMID: 14754652)
ただしスギ花粉症ではジルテック、クラリチン、アレグラに効果の差がなかったという報告もあり、必ずしもアレグラの効果が低いというわけでもないようだ。
Arerugi. 2006 May;55(5):554-65.(PMID: 16883093)
まとめ
以上をまとめると
クラリチン=デザレックス=ビラノア=ザイザル≧アレグラ
になる。
アレグラがやや劣り、そのほかの薬剤の効果には大きな差がないと言えるだろう。
効果の比較(増量)
ザイザルとルパフィンは増量が可能な薬剤である。通常は1日1錠だが、1日2錠まで増量できる。
そこで増量したときの効果を見てみる。
メタアナリシスはないので、単発の臨床研究のみ。
1錠vs2錠
ザイザルは1錠よりも2錠のほうが有効性が高いというデータがある。
J Allergy Clin Immunol. 125(3): 676, 2010(PMID: 20226302)
一方ルパフィンでは1錠と2錠に有効性の有意な差はないようだ。
Allergy. 62(5):539, 2007(PMID: 17441794)
ザイザルvsルパフィン
それではザイザルとルパフィンを比較するとどうだろうか。
まずザイザル1錠とルパフィン1錠の比較試験。
この研究ではルパフィンの方が効果が高かったようだ。
J Drugs Dermatol. 10(12): 1444, 2011(PMID: 22134570)
次にザイザル2錠とルパフィン1錠の比較試験。
この研究ではザイザルの方が効果が高い。
Int J Dermatol. 54(10):1199, 2015(PMID: 25521304)
まとめ
以上をまとめると
ザイザル1錠<ルパフィン1錠=ルパフィン2錠<ザイザル2錠
となる。
1錠ではルパフィンが強いが、2錠の比較ではザイザルが強い。
まとめ
全部まとめて図にしてみると以下のようになる(ジルテックはあまり使わないので除いた)。
さらに前回の内容も加味してみる。
まず第一選択はBランクで眠気が少ないクラリチン、ビラノア、デザレックス。
高齢者や肝障害、腎障害がある場合はアレグラ。
Bランクで効果が乏しい場合は、眠気はあるが効果が高いルパフィンやザイザル2錠。
こんな風に使い分けるのはどうだろうか。
エビデンスレベルの高いものではないので、あくまで参考程度に。
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Source: 皮膚科医の日常と趣味とキャリア
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