一昔前までは
猫には関節炎が少ないと言われてきました。
最近は
高齢化や研究が進んだことで
実は
11歳以上の猫の
およそ90%に
関節の問題があることが判明しています。
肘や膝、肩など6ヶ所の関節の関節炎の罹患率は
1~4歳は30%、
5~10歳は56.5%、
11歳以上では90.6%と
高齢になるほど関節炎のリスクが増加することが明らかとなりました。
主な症状としては
高いところにジャンプしなくなる
いままで一回で飛び乗れた場所に段を使用して上るようになる
飛び降りる時に躊躇する
遊びが減る
触られたり抱っこされることを嫌がるようになる
グルーミングが減る
頻繁に鳴くようになる
などの症状があります。
猫は
犬よりも関節炎の症状が目立たないために
老化現象とみなされることが多く、
関節炎の多くは見過ごされ
研究も犬ほどは進んでいませんでした。
日大の杉谷博士教授らの研究チームが
猫の関節炎は、
人間とは異なるメカニズムで発症する
ことを解明し、
英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に発表しています。
人も犬も猫も
関節の構造はこのようになっています。
この図は健康な状態の膝関節の様子です。
猫でも
骨関節炎は気づかれないうちに進行していきます。
痛みが発現するまでには
滑膜の炎症
滑膜液の減少や粘稠性の低下
関節包の肥厚
軟骨の破壊
筋肉や腱、靭帯の編成や薄弱
関節炎
骨棘の形成
などの病理変化が起こります。
かつては
骨関節炎の主な原因は
関節軟骨の変性によるものとされてきました。
でも
現在では
骨関節炎の初期と末期においては
滑膜の炎症が大きな役割を持っていることが判明しています。
そして
今回発表された論文では
猫の骨関節炎が
人とは異なる発症メカニズムであったことを示しています。
関節の細胞が刺激されると、
細胞内の三つの酵素が別々に働き、
それぞれが炎症を起こす原因を作りだすと言われています。
当初は
猫も人と同じメカニズムだと考えられていましたが、
猫では三つの酵素のうちの二つが
連動する独特の仕組みであることがわかりました。
次の図は猫におけるインターロイキン1β
から
痛みの元となるプロスタグランジンE2に至るメカニズムを示しています。
詳細は難しいので省きますが、
図の一番下の
PGE2 releaseとは
プロスタグランジンE2という生理活性物質の放出です。
これが
骨関節炎の痛みの元です。
この生理活性物質は、
生体が
関節の異常を検知すると放出されます。
それは警報のような役割があり
病気の部分に血液を集めて
修復する作業に必要です。
でも、
同時に修復を早めるために
痛みや腫れ、発熱も引き起こします。
でも
この痛みや腫れや、発熱は
本来の修復に必要なものです。
でも
現在の治療薬である痛み止め薬は
痛みだけは止めるものの
この自然治癒力であるプロスタグランジンの働きを止めてしまうだけのものなのです。
現在
猫の骨関節炎には、痛み止めの薬の他には
自然療法やサプリメントなどによって治療しています。
今回の
発症メカニズムの解明によって
より効果的な薬の開発や
よりよい自然療法やサプリメントの選定に
繋がるかもしれません。
まずは
猫ちゃんをよく観察して
関節炎の症状がないかどうか
見つけてあげましょう。
それが最も早く苦痛を取り除く方法です。
vethospital.co.nz/cat-arthritis
今日もありがとうございます。
ブログランキング参加しています。
よろしければクリックお願いいたします。
Source: ひかたま(光の魂たち)
コメント