ああコロナ狂騒曲

内科医

 瞬く間に世界中を席巻したオミクロン株,我が国でも毎日感染者数が更新され,複数の都道府県で蔓延防止条例とやらが発出さています.

 当院でも先月からPCRの検査数が激増,陽性率も高まっており,出勤直後の私は,検査会社から送られてきた結果を受検者全員に連絡,陽性の場合は保健所に連絡するなどの仕事がルーチンになりました.日祝日の場合はやむなく検査会社から個人携帯に連絡をもらいます.

 業務の逼迫した保健所は感染者に連絡するまでの日数がどんどん伸びており,3日以上も要することもまれではありません.

 当院はビル内の医療モールという性質上,発熱外来としては公表していませんが,かかりつけの患者やその家族や知り合いから,発熱やPCR検査の相談がひっきりなしにかかってきますので,最近はほぼ毎日何人ものPCR検査を行い,1月中旬から開始したブースター接種も相まって多忙さに拍車がかかっています.

 しかし,オミクロン株はデルタ株に比較して感染力は非常に強いものの重症化率は低いことがわかっており,激増する総感染者数とは対照的に重症者数はそれほど増えていません.

 欧米などは今回も日本とは桁違いの感染者数を記録したものの既にピークアウトしつつあり,英国のようにあらゆる規制を撤廃してしまった国さえあります.つまり,もうこのウイルスを完全に抑え込むことなど不可能で,治療法が確立されてきたこともあって,経済活動を優先してウイズコロナの方針に舵を切ったということです.

 そもそも百年前のスペイン風邪に端を発したインフルエンザも,根絶するどころか我が国だけでも毎年一千万人もの感染者が出ますが,治療法が進歩したからこそ当時のような途方もない死者数は出ないわけです.それでも,高齢者を中心に毎年数千人もの犠牲者がいるのに,日本のマスメディアはほとんど取り上げません.

 以前のブログでも書きましたが,このコロナ禍における政府の対応や,偏向報道の多いマスメディアを見ていると,あまりの決断力と融通性のなさ,悪意さえ感じる報道ぶりには怒りさえ感じます.

 どのマスメディアも相も変わらず総感染者数の増加を嬉々として報道,メディアに出る感染症の専門家の発言も口を揃えて恐怖感を煽るような発言をする様にプレッシャーをかけられているとしか思えません.

 先日,政府分科会の尾身会長が,人流抑制より人数抑制と述べたことで混乱が起こっているなどと報じられていましたが,実は彼の精一杯の抵抗だったのではないでしょうか?

 また関西系のあるテレビ番組に招かれた大阪市立大学病院の感染症専門の医師が,マンボーなんぞ何の意味もなし!と堂々と言っておられたのには溜飲の下がる思いでした.
 
 そもそもコロナ禍が始まってから2年,第5波まで経験しておきながら我が国ははいったい何を学んできたのでしょうか?

 なぜこの未曾有の国家的危機の真っ最中に,党利党略が故か,厚労大臣やワクチン担当大臣の首をすげ替えるようなことをしたのか?
 飲食店ばかりをターゲットにしたマンボーが本当に感染抑制に効果があるのか検証したのか?
 なぜ今回も病床や療養施設がまたもや簡単に埋まってしまい医療体制が逼迫するような事態が再燃しているのか?
 濃厚接触というだけで長期間の自宅待機を余儀なくされれば社会機能に支障が出るのは誰が考えても明らかなのではないか?
 最近は抗原検査のキットが不足する事態に追い込まれ,感染者の同居家族は症状さえあれば検査なしで見なし陽性としてよい,などとされたが,あまりにも杜撰ではないか?
 今後新たな変異株が出るたびにこんな旧態依然とした方法を繰り返すのか?
 ブースター接種が大幅に遅れているのに,なぜいつまでも接種券の必要性にこだわるのか?

 考えれば考えるほどおかしなことだらけです.

 そもそもオミクロン株に関しては殆どの症例で症状が通常の風邪と変わらないので,実際の潜在患者数は途方もない数でしょう.当院でも,軽い咽頭痛と咳で来院,でも検査をしたらコロナだったなどというケースはいくらでもあります. 
 それに,ほとんど症状がない,あるいは軽い風邪程度の症状なのにコロナと診断されたが故に仕事にも行けないし家族にまで迷惑をかけるとなれば,検査など受けずやり過ごしてしまうような人も多いでしょうし,その人を責めることは出来ません.

 もう5類に落として保健所への報告義務をなくす,陽性者など検査すればするほど増えるわけですから,1人出ただけで学級閉鎖にするなどという大袈裟なことはやめる,感染しても無症状者はインフルエンザと同じ5日くらいの自主隔離にする,濃厚接触しても無症状ならば制限なし,無意味なマンボーや緊急事態宣言など出さない,ワクチンのブースター接種は接種券などなくとも希望者にはどんどん打つ,各自が基本的な感染対策を心がける.
 賛否はあるでしょうが,もうこれで充分でしょうし,そうしてこそ,重症者に貴重な医療資源を集中出来るのだと考えますが,いががでしょうか?

 現場の最前線で働く私たち医療従事者はもちろん,多くの国民も,新型コロナウイルスそのものというより,この馬鹿げたコロナ狂想曲に辟易しているのです.


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Source: Dr.OHKADO’s Blog

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