“がん”である以上――。

「子宮と喉、
 あとは左頬にあるしこりも“がん”ですね。
 手術は3か所同時にします」

医師に告げられた言葉

『え? がんが3か所?
 いつまで生きられるかわからない。
 もう死を覚悟しよう。

 それにしても、3か所同時に手術...。
 術後の痛みは尋常ではないだろうな。

 “喉”ともなれば食事もしばらく摂れないだろう。
 嚥下のリハビリも大変そうだな...』

私は絶望の淵にいた

あまりにも衝撃的すぎて、
涙さえ出ない――

そんなとき鳴った、目覚ましのアラーム

「嗚呼、夢でよかった...」

きのうの朝の目覚めは、
なんともあと味の悪いもの

いや、確かに夢でよかった

現実に戻った瞬間、
どれほど安堵したか...

がんになってから、
たまにがんになる夢を見る

がんになって手術を受ける夢も見る

たぶん、がんにならなかったら
見なかった夢

がんになったからこそ見るのだと思う

それは、自分ががんになったことで、
“がん”がどんな病なのかわかっているから

そして、そこにはきっと、
“再発の不安”があるから

いくら“普通”に生活していても、

いくら
「もう大丈夫」と自分に言い聞かせていても、

深層心理の中に、
“再発”という目に見えない不安が隠れている

それはきっと、
一生、逃れられない呪縛――

  子どもが産めなくなった私が
  出産をする夢を見たことがある

  その経験もないのに...である

  ちなみに、
  あまり興味のない男性の夢を見て、
  その日一日、
  ときめいていたこともあったっけ

  なんとも“夢”とは不思議なものである

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Source: りかこの乳がん体験記

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