勝間和代氏の著書「ロジカル不老長寿」によると、定年後やることがなくなってヒマな高齢者は多いのだという。
定年後の生活を暮らす方の多くが、本当にやることがない。つまり暇なのです。
そして漫然と時間を過ごしているうちに、つまらない人間になっていく。
ゴルフ、美食、旅行くらいしかやることがなくて、漫然と時間を過ごしている。
そして勉強意欲が衰え、つまらない人間になっていく。
さらに暇を持て余して、横暴で自分勝手なことを言ったり、やったりする。
暇で時間があるのでよくやってきては、横暴で自分勝手なことを言ったり、やったりする。
仕事柄、迷惑な高齢者に出くわすことは多く、彼らに対しては強い陰性感情を抱いている。
しかし明日は我が身である。
そうならないためにはどうしたらいいだろうか。
今回は遊びについて考えてみる。
楽しむスキル
以前紹介した本「人生は、運よりも実力よりも勘違いさせる力で決まっている」の著者ふろむだ氏が書いたnote記事がある。
この記事によると、老後に楽しく暮らすために必要なのは「遊びを楽しむスキル」なのだという。
「楽しいことがない」といってつまらなそうにしている人は、楽しいことがないのではなくて、楽しむスキルがない。
よく、「最近、面白いテレビ・映画・マンガ・アニメ・ゲームがない」などと言って、つまらなさそうにしている人は、「楽しいことがない」のではない。「楽しむスキルがない」のだ。
つまり楽しむスキルこそが、迷惑な高齢者にならないための鍵になるということだ。
楽しむスキルがない人は、「旅行」などの誰でもできるお手軽な娯楽に身をゆだねるしかない。
ところがそんな受け身の娯楽にはお金がかかる。
すると「お金がないと、旅行にもいけない」と、お金の不安を抱えながら老後を暮らすことになってしまうのである。
楽しむスキルとはいわば「カネを使わずに人生を楽しむスキル」。
迷惑な高齢者にならないためにも、お金の不安を抱えないためにも、自分が主体になり遊ぶ能力を開発する必要がある。
それでは具体的にどうしたらよいのだろうか?
ヒントは「考察」と「創作」にありそうだ。
①考察
精神科医・樺沢紫苑先生の著書によると、受け身の娯楽もアウトプットすることで能動的なものに変わるのだという。
たとえば映画を観て、ただ「おもしろかった」で終わってしまえば受動的娯楽。
例えば映画を1本観て「あー、おもしろかった」で終わってしまえば、それは受動的娯楽です。
しかし映画の内容から考察したことを、ブログなどにアウトプットすれば能動的娯楽に変わる。
しかし観終わったあとにそれをアウトプットすれば能動的娯楽となります。
あなたが普段漫然とやっている娯楽も、目標を設定し「アウトプット」と組み合わせることで能動的娯楽に変えることができるのです。
ところが内容を十分に考察するためには、基礎知識となる教養が必要である。
コンテクストを読む
アートの世界には「コンテクストを読む」という概念があるそうだ。
作家のそれまでの作品を理解し、傾向の変化を楽しむ。
そして、それが同時代や後世のどの作家に影響を与えたか、美術史の中でどんな意味を持つのかを考える。
ただ目に映るものを見るだけではなく、その作品に関する基礎知識を持っていないと十分に理解することはできないのである。
これはアートだけではなく、映画や小説、サブカル作品などにも当てはまる。
ガイナックスの設立者であるアニメ評論家の岡田斗司夫氏は、サブカルコンテンツを楽しむためにはコンテクストを読む必要があると述べている。
ただコンテンツを消化するだけでなく、過去の作品を紐解いて推察でき、技術的な側面まで理解できる教養があることで、より楽しむことができる。
つまり様々な知識や教養を積極的に学んでいくことで、遊ぶ能力が上がる。
すると様々な作品を深く楽しむことができ、それをアウトプットすることができるのだ。
②創作
もう一つヒントになりそうなのは京大卒のニートphoさんの著書「ニートの歩き方」。
京大卒のニートという異色の経歴を持つPha氏。
彼の著書「ニートの歩き方」を興味本位で読んでみた。
どんな変わり者なんだろうか、と。
しかし本を読み進めていくと…
集団行動が苦手で協調…
この本の中でニートなるために必要な能力が紹介されている。
それは「お金をそんなに使わずに時間を潰すことができるかどうか」。
そこで重要なのが小説や絵、音楽、アプリなどの創作である。
紙とペンさえあれば、もしくはパソコンさえあれば、楽器さえあれば、何時間でも退屈しない、というタイプの人がよく訓練された年季の入った無職には多いように思う。
これはまさしく「カネを使わずに人生を楽しむスキル」。
創作はお金がかからず何時間でも退屈せず没頭することができる。
何かちょっと物を作ったりすることを楽しみにできる人は貧乏に強い。創作は消費ほどお金がかからないし、作ったものがお金に変わることもときどきあったりする。
ただし創作を楽しめるようになるまでにはかなりの努力を要する。
この点に関してはふろむだ氏も述べている。
たとえば小説を書くのなら、たくさんの作品を読み込んで、分析して、研究する必要がある。
たとえば、小説なら、自分が理想とする小説に近い小説をたくさん読み込んで、よく分析し、研究する必要がある。
しかしその過程で、多くの作品をより深く理解して楽しむことができるだろう。
自分だったら小説かな…?
まとめ
ベストセラーの「LIFE SHIFT」を読むと、今後人間の寿命が100歳まで伸びる可能性があるそうだ。
そうなると大事なのは娯楽をより楽しむスキルなのではないだろうか。
小説家の中島らもは「教養とは学歴のことではなく、一人で時間を潰せる技術のことでもある」と述べている。
迷惑な高齢者にならないために、またお金の不安を抱えないためにも一人で時間を潰せる技術を磨いていきたい。
Source: 皮膚科医の日常と趣味とキャリア
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