僕たちはまだこんなところでは終われねえ。
お看取り前後の深夜2時ころ、必ずと言っていいほど目が覚める。
どの旅立ちにも、『死の壁』なるものが存在し、だいたいいつもその時刻。
その壁を越える時にこそ、医師の人間力が一番必要とされる。
この15年の在宅医療のお看取りに関わって、習得したことだ。
だから、お看取りの後は必ずといって、その時間に目が覚める。
お看取りがまだ終わっていない錯覚があって、目が覚める。
リカバリーが上手くできてない時ほど、その時間の不安に苦しむ。
どの旅立ちも、素晴らしい。
その一方で、身を削って、心を削って、向き合う自分は、
どうしてもその後にリバウンドする。
昨日の旅立ちも、本当に素晴らしかった。
娘さんとご主人がご本人の手を握る中、息を引き取られた。
その寝顔は、穏やかな優しいお顔。いつもどおりの平穏死。
こんな素敵なザイタク介護やザイタク看取りに、
いつもどおり祖父母と母の最期を重ねて見ている自分がいる。
そんないつもどおりの深夜2時。
僕にも神風が吹かないかあって、苦しんでたら、
見ないつもりでいた対スペイン戦が深夜4時から始まった。
前半、スペインの攻撃を耐え凌ぐ日本代表の応援に力が入る。
ベッドのお布団に潜りながら、スマホで観戦。
後半、逆転!!!なぜか、涙がこみ上げてきた。
これはもはや、ジャイアントキリングでなく、実力だ。
朝焼けの中、車を出し、仕事場へ向かう。
いつの間にか、勇気が湧いていた。リカバリー完了。
風を吹かす今のサッカー日本代表の実力は、本物だ。
僕たちだってこんなところでは終われねえ。
ザイタクの風を必ず吹かしてやるぞ。
車に乗り込む時、朝の冷たい風がとっても爽やかだった。
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The post その風は神風ではない。実力だ。さあ僕らもザイタクの風を吹かそう。 first appeared on 三田市の在宅療養支援診療所『たなかホームケアクリニック』.
Source: 兵庫県三田市の在宅療養支援診療所「たなかホームケアクリニック」
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