中学受験経験者の雑感「コスパで考える学歴攻略法」

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今回…

 

これらの著者である藤沢数希先生の新作が出版された。

 

テーマは子どもの教育。

重課金で私立中高一貫から底辺医学部に滑り込んだ身としては興味深いテーマである。

 

今回はこの本をもとに自分の中学受験の経験を書いてみる。

 

中学受験vs公立コース

 

中学受験をして私立の中高一貫校へ進学する場合。

塾の費用と学費で約1000万円かかるそうだ。

それだけのメリットが中学受験にあるかどうか。

そこには2つのポイントがあるようだ。

 

  1. 受験勉強の内容
  2. 中高一貫校のカリキュラム

 

1. 受験勉強の内容

まず受験勉強について。

中学受験の算数は特殊な分野で、かなりのリソースを投入する必要がある。

しかしその知識は大学受験ではまったく役立たない。

 

一方、高校受験の勉強は大学受験に直結している。

その点では中学受験よりも高校受験のほうがコスパが良いと言える。

 

2. カリキュラム

次に中高一貫校のカリキュラムついて。

メリットは高校受験が不要なので6年かけて大学受験の準備ができるということである。

中学、高校の範囲を5年間で終わらせてしまい、1年間を大学受験対策に専念できる。

 

一方のデメリットはメリットと表裏一体。高校受験がないことである。

高校受験という区切りがないので、途中で授業についていけなくなった場合は挽回できるチャンスがない。

 

トップ層にはメリットが大きく、ボトム層にはデメリットが大きい。

これらを総合的に考えると、中学受験に1000万円ほどの価値があるかは疑問…というのが結論になりそうだ。

 

中高一貫校の実際

 

ここで自分の中高一貫校の記憶を振り返ってみる。

勉強はサボっていたが要領は比較的良く、ソコソコの順位はキープできていた。

点が取りにくい数学、英語の勉強は最小限に抑え、点が取りやすい副教科にリソースを全投入する戦略である。

 

当然、大学受験が近づき模試を受けるようになると問題が表面化する。

英数の悲惨な状況…。

基本がまったく理解できておらず、中学レベルの英単語すらおぼつかない。

 

結局、中高の6年分を1年間で挽回することはできず、浪人することになった。

というわけで、自分は中高一貫校のメリットを享受することはできなかったと思う。

その意味ではコスパは悪かったと言えるだろう。

だが中学受験には別の側面も存在する。

 

その他の側面①公立コースのメリット

 

公立中学校のメリットとして「様々な社会背景の人間と関わることができる」というものがある。

社会に出るとあらゆる階層の人間と接することになる(特に我々のような接客業では顕著)。

そのためのトレーニングとして公立中学校が最適だ…という理屈である。

さらにそんな環境が、子どものハングリーさも育成することにもなるそうだ。

 

一方、ぬるま湯につかっていた私立中高出身者はひ弱で、社会ではやっていけないというわけだ。

これには一理あるように感じる。

 

社会に出てから、自分の常識では考えられないような人間が大勢いることに衝撃を受けた。

「負けるが勝ち」精神科医より学ぶクレーマーの対応法

診療をしていると理不尽なクレームに遭遇することもある。

いきなり喧嘩腰。何を言ってもキレる。診察後はしっかり病院にクレーム。

その一人のせいで外来診療が嫌になる。

最近、客を選べない仕事が不人気になってきて…

 

彼らには本当に消耗させられるし、このままずっとやっていける自信もない。

もし公立中学校で鍛えられていたら屁でもなかったのかもしれない。

 

とはいえ学校になじめなかった自分は、公立の過酷な環境では「不登校→ニート」になっていた可能性が濃厚である。

(闇金ウシジマくんを読むと、自分のニートルートが描かれている気がして恐ろしくなってしまう…)

闇金ウシジマくん名作回ベスト3

最近、「闇金ウシジマくん」を読破した。

これまで何度も挑戦してきたが、あまりにも気が重くなる内容なので毎回挫折。

しかしDMMブックスの70%オフキャンペーン(60億の損失を出して会社が潰れかけたらしい)…

 

私立中学校は金持ちの子息が多く、良くも悪くも牧歌的な雰囲気であった。

その点では、自分にとって私立中高一貫校で助かったと感じている。

 

その他の側面②中学受験のメリット

 

また中学受験の際、ハイレベルな同級生たちと出会えたことは自分の人生観に大きな影響を与えている。

 

自分が通っていた学習塾は成績別にA、B、Cの3つのクラスに分かれており、ほとんどの生徒は一番下のCクラスから始まる。

多くの生徒が所属するそのクラスでの自分の成績はトップ(県内ではベスト3)。自分の圧倒的な優秀さに酔いしれていた。

 

やがて順調にBクラスに上がるが、そこでの順位は中の上くらい。

こんなはずはない…自分はもっとやれるはず…と勉強に励んだ。

 

そして、なんとかトップのAクラス(選抜クラス)に上がることはできたのだが、そこで愕然とする。

そこにいたのは開〇やラ〇ールを狙うクラスメイトたち。

突き抜けたレベルの彼らには、どうあがいてもまったく歯が立たなかった。

自分の成績は下の下。県内で最下位だったことすらあった。

 

県内トップから最下位への転落。

このとき「自分の能力、評価は相対的なもの」ということを学んだ。

才能や努力ではなく、自分がいる環境によって左右される。

小学生のときにそれを理解できたことが、中学受験の最大のメリットだったと思う。

(そこそこの中高一貫校~底辺医学部中学では、これほどの突き抜けた人間に出会うことはなかった)

 

ごく当たり前のことではある。

しかし社会人になってからその事実に気づき挫折する人も多いようだ。

 

まとめ

 

今回は自分の中学受験の記憶を振り返ってみた。

成績という面ではコスパは悪かったように思う。

しかし公立へ行って不登校→ニートになっていた可能性を考えると良い選択だったのではないか。

 

そして小学生のときに知った自分の相対的な立ち位置(メタ認知と言ってよいのか)。

「自分に期待しすぎない」という姿勢。

これが今の自分のベースになっているのは間違いない。

 

そんなことを思い出させてくれた「コスパで考える学歴攻略法」。

なかなか良い本だった。

Source: 皮膚科医の日常と趣味とキャリア

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