YOLO （You Only Live Once）

　このゴールデンウィークは患者さんたちにはご迷惑をおかけしましたが思い切って9連休とし，コロナ禍前以来ついに3年ぶりの海外旅行を決行，かみさんとともにコートダジュールとパリで1週間の旅を堪能しました．

　今回は，ハイシーズンであることはもちろん，ロシアのウクライナ侵攻に端を発したエネルギー危機や航路の迂回，円安の影響などで例年より高くつきましたが，かけがえのない素晴らしい経験となりました．

　パリ経由で最初に訪れ滞在したニースは，あいにくの雨で“紺碧”の空とはいきませんでしたが，朝市の賑わいに地元の人々の息遣いを感じ，また，絶対に外せなかったシャガール，マティス美術館もバスと徒歩でせっせと回り，その独特の画風に改めて魅せられました．

　また，2日目には現地在住40年以上という日本人，井上さんによるプライベートツアーに事前に申し込んで参加，エズやモナコ，マントン，さらにはイタリア国境近くまで案内していただき，南フランスらしい街並みや風景に心癒されました．また道中，観光案内のみならず，日常生活や医療など通常の旅行ではなかなか窺い知ることの出来ない話を生活者の視点から興味深く教えていただき，勉強になりました．
　フランス人の妻を持つ彼はすでにご自身もフランス国籍とのことでしたが，出身はなんと神戸元町とのことで，これまた話が盛り上がりました．
　最後には有名な香水の老舗フラゴナルの工場を訪問，大学を卒業したばかりというチャーミングなイタリア系の女性店員さんに説明を受けたあと，香水も安く購入できました．

　パリでは滞在したホテルのあるオペラ地区を中心に，オペラ座，凱旋門，シャンゼリゼ通り，コンコルド広場，いくつかのパッサージュ，あの火災からまだ修復中のノートルダム大聖堂，マレ地区，サンジェルマン・デ・プレ地区まで地下鉄と徒歩で足を運んで散策．
　ディナー付きのセーヌ川クルーズに参加後はエッフェル塔最上階の展望台まで昇って煌めくばかりの夜景を満喫．

　ルーブル，オルセー，オランジェリーの3大美術館は質・量ともにまさに圧巻の一言．
　オルセーでは，特にルノワールのムーラン・ド・ラ・ギャレットなど印象派の名画の数々に感動．

　三十万点以上もの所蔵品を有するルーブルは世界中から観光客が殺到する上にあまりにも巨大で，モナリザやミロのヴィーナス，サモトラケのニケ像など，限られた時間で絶対に外せない有名作品を見るだけでも大変なので，事前に現地在住18年というベテランの女性公認ガイドによる館内ツアーに登録，3時間ほどでしたが作品の背景などを興味深く解説していただきながら効率よく回ることが出来，多いに勉強になりました．

　特に初めて実物を見たドラクロワの「民衆を導く自由の女神」，この国が苦難の末に自由，平等，博愛を獲得した過程が凝縮されたこの巨大な絵のド迫力には圧倒されました．

　ローマやウィーンなどの都市と同様，歴史遺産をのこすべく厳格に保存された石造りの建物が立ち並ぶ街並み，同権な歴史的建造物の数々．
　そしてセーヌ河畔や街角の至る所にあるカフェやレストランののオープンテラスで，ワイン片手に夜更けまで思い思いに楽しむ老若男女．
　世界中から観光客が戻っていてコロナなんぞ過去の遠い出来事という感じで，もちろん誰もマスクなんかしていません．
　私たちもその明るく華やかなオーラを少しは浴びることができました．

　彼らは，日々大変なことも多いけど，一度しかない人生，楽しく暮らさないでどうするの？という人生観，YOLO （You Only Live Once）に貫かれているのかもしれません．
　真面目，勤勉，協調性ばかりが求められる日本人，少しは真似してもバチは当たらないのでは？そんなことを感じた旅でした（笑）

見知らぬ土地への旅と，人々との出会いは人生をとてつもなく豊かにしてくれます．
　さて，次はどこへ行こうか？私の心は早くも次の旅先を探しています．