おはようございます。
当ブログの読者の方から、「持株会への参加の是非」について以下のご質問をいただきました。
はじめまして。
いつも楽しく記事を拝読しております。「ひとふで」と名乗らせていただきます。
さて、今回は自分の資産形成について疑問があり、ちゅり男さんのお考えを仰ぎたいと思い、問い合わせをさせていただきました。
簡単ながら私のプロフィールを述べさせていただきます。
齢:20代後半
勤め先:国鉄や電電公社のような公共企業体から民営化を経た企業です(ぼかしてすいません)
役職:一般社員
月給(支給額):30万前後
婚姻:未婚
住まい:実家
現在取り組んでいる資産形成に類するもの
・積立NISA(上限いっぱい)
・iDeco(上限いっぱい)
・持株会(上限いっぱい)
・個人年金保険(所得控除の上限分だけやっています)
・給与の残りをなるべく貯蓄
疑問がある資産形成についてですが、ずばり「持株会」についてです。
私は現在、持株会での自社株購入(以下、「持株会」という)を各月の上限まで行っています。
理由は、以下のものがあります。
・15%の奨励金が大きい
・勤め先が民営化したあとでも国策に近い企業であり、リーマンショック期においても赤字を出していない等、経営が現在のところ非常に安定している。
・自分の年令がまだ20後半のため、同じ企業に勤め続けるとしたときまだ30年以上の長期運用ができる。
・月給から天引きされる形なので心を乱される事なく積立ができる
具体的にいうと、15%もの奨励金があるためこれだけで値崩れが起きにくくなります。
なお、奨励金は所得として計算されるようで、その分税金が高くなってしまうデメリットがあります。
ただ、ふるさと納税では年の合計所得が控除対象額を決める要素になるようで、デメリットだけではないのかなと考えています。
また、勤め先の企業が特殊なため倒産のリスクが低くく、自身が若年のため第二、第三のリーマンショックが来ても株価回復まで保持する事ができるのではないかと考えています。
ただ、一般的に言われるように持株会というのは資産形成のリスク回避の考えから乖離するものであり、インデックスへの投資信託のようなリスク分散ができていない事を自覚しています。
また、国策に近いような企業であったとしても、絶対に倒産しないなどという事はあり得ないと思うので、気を抜かず社会の情勢や企業の動向へアンテナを張りづづける必要があると考えています。
それらを考えた上でも上記の理由などから、環境が変わって持株会を続けられなくなるまでは現状を維持し、50歳を迎えた後に余裕を持って株の売却をしようと考えています。
しかしながら、私と同じような事をしている同期や先輩・上司はいません。むしろ、そもそも資産形成に興味がなかったり、貯蓄だけを考えている方が周りには多くいます。
そこで、普段から拝読させていただいているちゅり男さんに自分の考えが如何なものかお聞きしたく思いました。
いきなりの不躾な質問ではありますが、お返事をいただけたら幸いです。宜しくお願いします。
※尚、この質問や回答については記事にしていただいて構いません。
ご質問ありがとうございます。
持株会への参加が勧められるかどうかは、各個人のおかれた経済的・社会的状況による所が大きいため、一概に参加した方がよい、参加しない方がよいという結論は出せません。
今回は、持株会に参加するメリット・デメリットを振り返りながら、検討してみたいと思います。
持株会に参加するメリット・デメリットを知ったうえで投資をする
持株会のメリット
持株会のメリット、それは自社株を購入する時に数%程度の補助が受けられることです。
これは、一般的な株式投資では絶対に得られない持株会ならではのメリットです。
「+α」が得られる分、勝てる確率はぐっと上がるわけですね。
ご質問者様の場合、15%の奨励金ということですから、これは非常に大きなメリットと言えます。
ただ、いくら補助が受けられて有利な条件とは言え、あくまで株式投資ですから、お勤めの会社のビジネスモデルに将来性があるかどうかはよく考える必要があるでしょう。
「+α」の部分に目がくらんで、本質を見失ってはいけないということです。
もちろん、会社の業績が右肩上がりならば莫大な利益が得られる可能性がある点は大きな魅力です。
持株会のデメリット
一方で、持株会に参加するということは、自分の勤めている企業に自分の人生全てを賭けるということに等しいです。
その会社と一蓮托生ということです。
「給与所得も会社から、株式も自社が大半」となりますと、会社に万が一があった時にご自身の生活に絶大な損害を受けることになります。
東芝だけではなく、山一證券やそごうなど、大企業であっても何が起こるか分からない世の中ですからこれは大きなリスクと言えますね。
ただし、今のところ独身で実家住まいということですから、リスクをとりにいける状況とも言えます。
また、ご質問者様がお勤めの企業は、国策に近いストック型ビジネスモデルの(大?)企業と推測しますから、比較的リスクは小さい方かもしれません。
最終的にはこれらのメリットとデメリットを天秤にかけて判断するしかないでしょう。
私がご質問者様の立場ならば、つみたてNISAやiDeCoなど他にも分散することを大前提として、一部を持株会に振り分けるのもアリかと考えます。
それだけ15%という数字は大きいですね。
収入の複数化と自社を客観視する視点が持てればなお良い
持株会に参加することのデメリットの大半は、自らの収入源や金融資産を自社に依存する体質になりやすいことにあります。
ですから、副業をするなどして、自社以外の収入減を確保することができれば、持株会のリスクを下げることができます。
もう一点は、同じ社内に長年身を置いていると、逆に自分の会社の置かれた状況について客観視することが難しくなるケースがあることです。
このあたりを冷静に判断できるのであれば、お勤めの会社のビジネスモデルから考えて倒産のリスクも低そうですから、持株会もありでしょう。
ただ、電力会社であっても東日本大震災後のように何があるか分かりませんので、あくまで油断はできませんけれどもね。
まとめ
会社から数%程度の補助が受けられるのは持株会の大きな魅力です。
逆に、自らの収入源や金融資産の大半を自社に依存することにもなりかねませんので、メリット・デメリットをよく勘案の上検討すべきだと考えます。
こんな記事も書いています。
東芝のように日本を代表する大企業であっても何があるか分からない世の中ですので、油断はできません。
持株会のリスクを下げるには、収入の複数化と、外国へも投資をすることが重要だと思います。
ご質問者様のように、iDeCoやつみたてNISAの非課税枠でインデックス投資を、その他の枠で個別株をやるのも面白いと思います。
Source: 神経内科医ちゅり男のブログ
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