学会の動き[追加]

前回記事で触れた 糖尿病関係の学会情報で,『次回 第27回(日本病態栄養学会の)年次学術集会開催がアナウンスされました』と書きましたが,その後 日本病態栄養学会から 概略日程がアナウンスされています.

プログラム|第27回日本病態栄養学会年次学術集会

注目されるのは,2日目(1/27)の このパネルディスカッションです.

当日 朝からの会長講演,受賞者講演に続いて行われるので,いわばこの学会の筆頭シンポジウムの扱いです. 座長は 日本糖尿病学会の 植木理事長と 中村学園大学の大部教授です.

このディスカッションの内容はまだ発表されていませんが,2019年に日本糖尿病学会が発行した『糖尿病診療ガイドラン 2019』にて,それまでの方針をほぼ180度転換して打ち出された;

糖尿病患者の食事療法の個別化

をどう進めていくべきなのか,という議論が行われると推測しています.

というのも,前回 第26回 日本病態栄養学会の合同パネルディスカッション4では;

『食事療法の個別化』という指針が全国の医療関係者にまったく浸透していないことを 植木理事長が嘆いていたからです. これだけの大きな方針転換が行われたにもかかわらず,それを実行していないどころか,そもそも方針転換があったことすら 全国の医療関係者に認知されていないのです.

実際,この記事でも紹介したように;

一般の内科医は,

『糖尿病の食事療法は 炭水化物60%のカロリー制限食が学会のガイドラインだ』

といまだに思っているのです.

この状態を打開すべく企画されたのが,このパネルディスカッションなのでしょう.

しかし,現状がこうなのには 日本糖尿病学会にも責任があります.

現時点で最新の一般内科医向けの『糖尿病治療ガイド 2022-2023』 及び 患者向けの『糖尿病治療の手びき 2023』には,相変わらず食事療法として食品交換表を推奨しているのです.

たとえば 9月20日に発行されたばかりの『糖尿病治療の手びき 2023』で,2型糖尿病の食事療法の解説を見ると;

(C) 日本糖尿病学会

総エネルギー量の50~60%を炭水化物とし,タンパク質は20%までとして,残りを脂質で摂取することが目安として推奨されています.(p.65)

・適正なエネルギー量を摂取し,バランスよく栄養素を配分するためには『糖尿病食事療法のための食品交換表(第7版)』を用いると便利です. (p.66)

と書かれています.要するに炭水化物50-60%で,食品交換表に従えと書いてあるのです.しかも

・日本糖尿病学会では「総エネルギー摂取量を制限せずに,炭水化物のみを極端に制限して体重の減量を図ることは,長期的な食事療法の安全性などがはっきりしていないことから現時点では勧められない」という内容のコメントをしています.(p.65)

とも書いています.よく読めば条件付きの否定文なのですが,ほとんどの人はこれを『糖質制限は危険だと学会が言っている』と読むでしょう.

ですから,これでは『学会の方針は2019年に大転換しました.今後は食事慮法は個別化ですよ』と言われても,ほとんどの医師に理解されないのは当然でしょう.

新方針が浸透していないと嘆くのであれば,日本糖尿病学会は;

炭水化物60%のカロリー制限食だけが唯一の食事療法ではない

とこれらの公式ガイドランにはっきりと書くべきでしょう.

そうしない限り,一般の医療関係者からすれば『学会のガイドラインは何も変わっていないではないか』と受け止めるのも当然だからです.

Source: しらねのぞるばの暴言ブログ

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