どないやねん,イメグリミン

健康法

「知らんけど」や「なんでやねん」は,全国共通大阪弁として普及しておりw,大阪人としては 喜ばしいことです.

(C) ACworks さん

これに対して 「どないやねん」の方は,いまひとつ勢いがありません.

(C) ACworks さん

こう言われた人は,何か要求されているようだが 意味がつかみにくく どうしていいかわからないという曖昧さがあるからでしょうか.まあ大阪弁は全部あいまいなのですけどね.

しかも それに加えて,

いやねん

と 言えば,これは 『どうなっているんだ? 答えろっ!』とはっきりと詰問していますし,

ど,ど,ど,どないやねんっ

は 本人がうろたえているのです.そして,

ど な い や ね ん

とふんわりと言えば,「うん,それで?」という単なる相槌にすぎません.

つまりニュアンスの幅が あまりにも広すぎすて,これがまた分かりにくさを生んでいます.

ところで この記事に書いたように,直近の学会でイメグリミンの症例報告を聞き漏らしたので「最近のイメグリミンは どないやねん」なのですが,つい最近 この論文が報告されました.

Katsuyama 2024

イメグリミンを相当長期間にわたって投与された2型糖尿病の人の経過を追跡した結果です.対象者は,国立国際医療研究センター国府台病院 糖尿病・内分泌代謝内科で治療を受けた2型糖尿病の人68名です.
最長12ヶ月までのイメグリミン投与効果を後方視的(retrospective)に解析した結果,全員のHbA1cの変化はこうでした.

Katsuyama 2024 Fig.1

やはり 穏やかにHbA1cが下がっています. イメグリミンの特徴として,服薬開始後 ただちにHbA1cがドカンと下がるのではなく,じわじわと下がってくるのはどうも間違いないようです. 漢方薬のような効き方です.

全体平均だけを見たこの結果では これ以上言えることはないのですが,対象者をBMI別にみたサブグループ解析結果がこうなっています.

Katsuyama 2024 Table 3-3
Katsuyama 2024 Table 3-3をグラフ化

BMI=25で対象者を2群に分けて,各群別に変化をみたものです.
全体平均だけを見ているとわからなかったのですが,BMI≧25群[図 左]の平均BMIは29でした. 一方 BMI=25未満の群[図 右]の平均BMIは,なんと21.5です. つまりこの対象者68名は,肥満型の人と,痩せ型の人とがはっきりと分かれていたようです. ということは 68名の全体の平均BMIが25.7だったといっても,それは幻の平均値であって,実際にはBMI=25付近の人はほとんどいなかったことがうかがわれます.

そして BMI≧25の人とBMI=25未満の人とでは,12ヶ月で同じようにHbA1cが低下したのですが,体重が減少したのはBMI≧25群だけでした. 痩せ型群の人の体重に変化はありませんでした. これは 肥満型,痩せ型 どちらであっても使える薬として 望ましい特性でしょう.

Limitation

最後に この症例報告のLimitation,つまり限界です.

著者も述べているように,まず 人数が68名と少なく,しかも これは たった一つの医療施設での症例です. したがって この結論にどこまで汎用性があるのかは不明です.

また 68名のBaseline=投与開始時点でのデータを見ると;

Katsuyama 2024 Table 1

平均年齢が70.3歳,かつ罹患期間も20.6年です. つまり長期にわたり糖尿病の治療を受けており,それでいながら イメグリミン開始時のHbA1cが8.5%もあります.

また開始時点の服薬状況をみると,上表の通り,68人が 合計16種類 370剤もの薬をそれまで服用していました.
つまり単純平均でも一人あたり5.4種の薬を服用していたのです. これは平均なので 中には一人で10剤というポリファーマシーの人もいただろうと推測されます.

ということは,この報告の対象者は,長期の糖尿病治療を継続してきたにもかかわらず HbA1cを8%以下にできなかった,すなわち 治療に難渋してきた特殊な患者集団なのです. だからこそ 国立国際医療研究センターという先端医療施設に紹介されてきたのでしょう. したがって,そこまでではない,日本でクリニックに通院している典型的な2型糖尿病の人へのイメグリミンの効果は,この報告からでは不明です.

ただし このことを 逆に言えば,あれこれ手を尽くしても どうしても下げられなかったHbA1cを,イメグリミンは 更に1%ほど低下させるだけの実力を示したとも解釈できます.

発売直後には注文が殺到して供給が追い付かなくなったイメグリミンなのですから,投与症例は 既に相当蓄積されたはずです. つまりデータはあるはずです. 少なくとも1,000人単位での投与結果をまとめて発表してもらいたいものです.

 

ねんっ!!

Source: しらねのぞるばの暴言ブログ

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