境界型なら血糖値だけを注意していればいいのか?

健康法

2型糖尿病にもいろいろある

2018年,スウエーデンの E.Ahlqvist博士は,『[2型糖尿病]という単一の病気は存在せず,病理・病態の異なる複数の病気を雑駁にまとめてそう呼んでいるだけである』という学説を発表し,世界の医療界に衝撃を与えました.

Ahlqvist 2018

博士によれば,現在2型糖尿病と呼ばれているものは,実は4つの異なる病気を十把一絡げに そう呼んでいるだけであり,それぞれ病態も異なるし,どの合併症が起こりやすいのかも異なる,というものです.

たしかにそういわれてみれば,名前は同じ2型糖尿病なのに,外見だけをみてもすごい肥満の人から痩せすぎの人までいて,これが 本当に同じ病気だろうか,とは誰しも思います.

では境界型は

そうであれば,健常人と糖尿病との中間状態である『境界型』も,1種類だけということはないでしょう.2型糖尿病は4つの異なるパターン(サブタイプ)があるのに,境界型は1種類だけではいかにも不自然です. 痩せ型の糖尿病になりやすい人と,肥満型の糖尿病になりやすい人とでは,当然 境界型の段階から違うはずです.

実際 そう考えて,Ahlqvist博士の発表後に 境界型糖尿病にも異なるパターンがあるのではないかと調べたのが,ドイツのWagner博士です.

この論文が博士の報告です.

Wagner 2021

ドイツ人らしい緻密な研究結果です.博士はこの研究成果で ドイツ糖尿病学会からWerner Creutzfeldt賞(*)を受賞しています.

(*) Werner Creutzfeldt賞;Creutzfeldt博士はクロツフェルト・ヤコブ病の発見者です.

Wagner博士は,Ahlqvist博士と同様に,データ駆動クラスタリング分析(Data-Driven Cluster Analysis)を用いて,境界型糖尿病には6つのパターンがあることを見出しました.

そして つい最近,Wagner博士は 上記論文に続けて この論文を発表しました.

Wagner 2026

前回2021年の論文で報告した 境界型糖尿病の6つのパターンについて,まず 糖尿病発症に至るリスクの低いタイプ(クラスター 1,2,4)と高いタイプ(クラスター 3,5,6)とがあるとしています.後者の高リスクパターンは,やがて MARDMODSIDDSIRDのいずれかを発症する可能性が大きいのです.しかも,その発症機序は同じではなくて,それぞれのクラスタによって相互に異なるとしています.

Wagner 2026 Fig.1

したがって,糖尿病と診断された時点から 治療法を考えるのではなく,この境界型の段階で,境界型のそれぞれのパターンに応じた糖尿病予防法を適用することが もっとも効果的でかつ重要だと警鐘を鳴らしています.

Wagner 2026 Graphic Abstract

もちろん その『境界型のパターンに応じた糖尿病予防法』は,現在 UnKnownです.境界型にも複数のパターンがあること自体が未知だったのですから,これは当然ですね. しかし 通り一遍の糖尿病予防法ではなく,精密な(Precise)予防法を ランダム比較試験により確立していくべきだと訴えています.

  

  

Source: しらねのぞるばの暴言ブログ

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