皮膚科医のフリーランス体験記②仕事編

その他ドクター

 

前回までのあらすじ

皮膚科医のフリーランス体験記①準備編

フリーランス医師。

それは特定の医療機関に所属せず、非常勤やスポットの勤務で生計を立てている医師のことである。

フリーランスの魅力は「勤務医よりも高給かつ自由度も高いワークスタイル」とされている。

実際には…

 

当初目指していた研究の道は断念

その後、総合病院へ移るが、そこでの仕事にも適応できなかった。

そして大学へ戻ることも叶わず、キャリアは閉じてしまった。

 

そこで次なる道を探すべく、モラトリアム期間(サバティカルタイム)の取得を決意。

フリーランスの道へ進むことになったのだった。

目的は以下の2つ。

 

  • 様々な職場を経験する
  • スモールビジネスへの挑戦

 

理想はフリーランスをしながら自分のビジネスで生きていくことである。

 

転職エージェント

 

退職までの期間は半年。

何はともあれ、まずはバイト先を探す必要がある。

知り合いに頼むのが一番早いのだが、自分の市場価値を確認したい気持ちがある。

そのため、なるべくオープンな求人から探したい。

 

ちょうどその頃、病院に怪しげなヘッドハンティングの手紙が届く。

「本分野に関し、多くのご経験と実績をお持ちである旨と拝察し、不躾である事は重々承知の上で、ご面談の機会を賜りたく、ご連絡を差し上げた次第であります。」

 

普段なら即座にゴミ箱行きだが、手紙の送り主であるリクルートの転職エージェントに連絡をしてみることにした。

そしてエージェントと会って、正直に色々と話してみた。

今後の進路を模索しており、色々な職場を経験したいこと。

開業も視野に入れていること。

 

彼によると大変オススメの求人とのことだった。

「開業前の勉強としての応募も可能です!」

「週1回の勤務もOKなので、是非、一度面接だけでも受けてください!」

 

今になって思えば、開業が決まっているわけではないのだから、開業前の勉強なんて言う必要はない。

しかし、この言葉を真に受け、開業前の勉強という名目での応募をすることになった。

 

そして面接当日、院長に志望理由を聞かれ、「開業も視野に入れ、色々な職場を経験したい」と正直に話した。

 

すると何やら雲行きが怪しい。

「以前ノウハウを盗んで開業した医師がいて、今でも腹立たしい」「開業前提の応募など認めない」「週3回は勤務してもらわないと困る」

と叱責を受けて面接を後にしたのだった。

 

エージェントが一切話を通していなかったというわけである。

医者紹介の実績をとりあえず作りたかったのか(それにしてもデメリットが大きい気がするが)。

リクルートのエージェントは信用できない連中であるということを学んだのだった。

 

そこで「民間医局」や「エムスリー」など複数のサイトに登録。

エージェントは信頼せず、自分で選んだ求人に応募する形をとることにした。

 

こうして病院やクリニックなど複数の施設での勤務が決まったのだった。

 

勤務の実際

 

バイトを始めて実感したのが、患者からの期待値の低さ。

総合病院の外来は、患者もそれなりの覚悟をもって受診しているため、緊張感に溢れていた。

感じの悪い店員とクレーマーの話

 

しかしクリニックや慢性期病院では患者もそこまで思い詰めておらず、「とりあえず何か軟膏ください」くらいの感じ。

普通に湿疹が治ったくらいで感謝されることもあった。

肩の荷が降りた気分であった。

 

そして勤務先の中でも特筆すべきは自由診療のクリニックである。

マニュアル完備で医者としての能力は必要としない。

仕事量は一番少ないが、給与は一番高いという、歪な構造を目の当たりにした。

 

ただし逆に「余計なことをしない能力」が求められることも学んだ。

やりがいと給与のトレードオフである。

ドロッポ医(高給マックジョブ)は理想の仕事なのか?

 

こうしてやりがいはないながらも、比較的充実した毎日を送っていた。

 

フリーランスの問題点

 

しかしフリーランスの問題点が徐々に表面化する。

非常勤は基本的に1年契約。

年度末に2つの職場が立て続けに契約終了となってしまったのである。

 

フリーランスになった当初は、職場探しにそこまで苦労することはなかった。

しかしそれから時間が経過し、当初より明らかに競争が激しくなっていた。

 

毎日求人サイトを確認するが、なかなか良い求人は出てこない。

そして良い求人が出たと思ったら即座に埋まってしまうという日々が続く。

こうして条件がよさそうな病院に応募できるまで、かなりの時間を要することになった。

 

面接に行ってみると、院長は東京在中で基本不在とのことで、対応してくれたのは事務長であった。

緩和ケアや心療内科、漢方外来などを手広くやっているらしいが、何やら怪しげな雰囲気である。

基本の仕事は皮膚科外来だが、内科の外来患者や急患も診てもらうとのことだった。

当然断ったが、ここまでに使った時間と労力を考えると、かなりの徒労感であった。

 

結局、知り合いのツテで勤務先が決まったが、フリーランスは不安定な身分であることを痛感した出来事だった。

 

加えて年齢制限がある求人も少なくない。

年齢を重ねるごとに自分の市場価値が下がり、フリーランスの仕事を維持するのは難しくなるだろう。

 

フリーランス40の壁

 

ライターの業界では40歳を超えるとフリーランスの仕事は激減するそうだ。

中年フリーランスの苦悩と出口戦略とは?

 

それでも中年が仕事を得るための条件は2つ。

 

  • 特別な才能を持っていて余人をもって代えがたい
  • 出版社の偉い人と友達である

 

まず才能がある人間であれば、中年以降も仕事を続けることができる。しかしそんな人は多くはない。

優れた才能がない場合は、どれだけコネがあるかが重要である。

つまり30代までにどれだけの人脈を作れているかがカギになるのだという。

 

医師も同じだろう。

人脈があれば勤務先に苦労することはないはずだ。

しかし才能も人脈のない自分は、フリーランスでずっと生きていくのは不可能だと思い知ったのだった。

それではビジネスについてはどうだったのか?

つづく

 

Source: 皮膚科医の日常と趣味とキャリア

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