糖尿病薬で飲酒運転?

健康法

SGLT2阻害薬

SGLT2阻害薬は,血液中のブドウ糖を強制的に「捨ててしまう」薬です.
その分だけ血糖値は下がります.また一日当たり50~100gのブドウ糖,をすなわち 200~400kcalを体外に排出するので,減量効果も多少あります.

糖質たっぷりの食事をしておいて,薬でその糖質を捨てるくらいなら,最初からその分だけ炭水化物を食べない,つまり糖質制限食の方が手っ取り早いとは思うのですが.

そういうメカニズムなので,SGLT2阻害薬の服用を始めると,糖質制限食を始めた場合と まったく同じことが起こります. 突然 ブドウ糖の供給が減るので,体内では不足するカロリー分を補うべく,一時的に ミトコンドリアでの脂質 β酸化,すなわち「脂肪を燃やす」化学反応が亢進します. この過程で 「ケトン体」と呼ばれる中間生成物が作られます .

ここでケトン体とは,[アセト酢酸],[β-ヒドロキシ酪酸],[アセトン]の総称ですが;

この内,β-ヒドロキシ酪酸は,酪酸というだけあって,かなり「臭い」物質です. 昔 糖質制限食を実行すると体臭が臭くなるというネガキャンがありましたが,β-ヒドロキシ酪酸は呼気には排出されません. 排出されるのは揮発性の高い アセトンのみです.

ぞるばは学生時代は合成化学系だったので,実験中は 洗瓶に入れたアセトンを,それこそ湯水の如く 毎日使っておりました.

アセトン洗瓶 (C) NALGENE

ただし,人にもよるでしょうが,アセトンは「臭く」ありません. どちらかと言えば さわやかな香りで,昔は肩こりなどの塗り薬に10%ほど添加されていました.塗った瞬間直ちに揮発して,スッとするからです(現在では引火の危険性からアセトンは添加されていません)

そうです,アセトンは非常に揮発性が高いので 燃えやすい可燃性ガスなのです.

飲酒運転だろっ!

突然 警官に車を停められて,アルコール検知器を突き出されたことがある人は多いでしょうね.

(C) れんげ さん

実は アセトンとアルコール(エタノール)とは,揮発性といい,燃えやすさといい,非常に似ているので,安価なアルコール検知器では区別されず,飲酒していないのに「呼気からアルコールが検出された」と 誤認識される場合があります.

糖尿病 第62巻 p.520 (C) 日本糖尿病学会

ここで報告されているのは,タクシー会社の運転手が糖尿病のため SGLT2阻害薬の服用を開始したところ,翌日から 始業前の点検で「アルコールが検知された」と疑われて 業務に就けなくなった実例です.

実はアルコール検知器には,安価な「半導体方式」と高価な「燃料電池方式(電気化学方式)」とがあり ,半導体方式では,アセトンとエタノールを区別できないのです.そのために このタクシー会社で 運転手が濡れぎぬを着せられてしまったようです.

もちろん,冤罪になってはいけないので,警察が交通検問で使っている検知器は,半導体方式ではなく,燃料電池方式です. こちらはエタノールだけに反応し,アセトンを誤検知することはありません.

ただ SGLT2阻害薬を服用している人は,そういうこともあり得るのだということを頭に入れておいた方がいいでしょう.

  

  

Source: しらねのぞるばの暴言ブログ

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