笑えない。

「そんな顔していたら、がんが寄ってくるよー」

「笑っていないと、がんに負けるよー」

...と、言われても、
笑えないときは笑えない

がん告知を受けたときは、
しばらくの間、笑うことを忘れていた

お笑い系のテレビ番組を観ても上の空

内容すら頭に入って来ない

音量もそれほど上げてもいないのに、
ただうるさいだけ

雑音でしかなかった

観客の笑い声に、

「なにが面白いんだろ」

と、思った

全く笑えない

笑う気にもなれない

治療中もそうだった

長い間、
心の底から大笑いしたことがなかった

副作用で体調が悪いこと、
そして、“がん”という先の見えない不安と
ちらつく“死”...

笑えるはずがない

『“笑い”は、
 心が元気でなければ出ないもの』

...だと思う

たとえば、同じお笑いのネタでも、
時に笑えたり、時に面白く感じなかったり...

“心”が左右する感情は、大きいものだ

『“笑い”は、免疫力を上げる』

そう言われている

『“笑い”は、お金のかからない薬』

と言う人もいる

実際に笑わなくても、
笑ったふりをするだけでもいいらしい

口角を上げるだけでも、
その効果はあるという

心に元気がないとき...

笑うことさえつらいとき...

とりあえず、
「ははは」と笑ったふりだけでもしてみよう

とりあえず、
口角だけでも上げてみよう

自分でできる簡単ながん治療だ――

  そこに、

  「リンパ球が
   がん細胞を食べてくれている...

   パクパク...パクパク...」

  そんなイメージトレーニングを追加すれば、
  最強である

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Source: りかこの乳がん体験記

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