日にち薬と目薬

医療機関

せんせい、ワタシ結構辛抱強いんですよ。

 

 

ご自慢のガーデニングのお庭に「ちょっとセンセイお話があります」と連れ出された。

お花がたくさん咲いている庭の白いイギリス風のベンチで話した。

 

なんとしてもザイタクをしたい!と必死の思いで、

愛する夫を病院から連れて帰られた。病院の反対を押し切って。

 

そんな彼女が、夫の介護の方法について、尋ねられた。

今の生活の仕方は正しいのかしら?これでいいのかしら?

彼の性格の急激な変化は、一体どうしてなの?

彼が、床で、寝てしまうことがあってもいいのでしょうか?ベッドに戻せないんです、、、

そんな時、なにもできず、ほったらかしてしまってても、いいの?

看護師さんやヘルパーさんが来てくれるまで、ベッドに戻さなくていいですか?

等々、、、

介護生活が始まったばかりで、全てが不安だった。

 

高次脳機能障害の改善は、時間がかかること。つまり日にち薬であること。

ほったらかしているのではなく、彼をちゃんと見守っておられること。つまり目薬であること。

そして、あなたの頑張りは、僕たちザイタク支援しているみんなで、見届けていますよ。これも目薬

そんな風に説明した。

 

そしたら、

彼女が、涙目になった顔を隠すように、

そっと立ち上がりながら、話された。

 

 

せんせい、ワタシ結構頑張ってますよね?!

 

はい、とっても。彼のことが大切なことがわかりますよ。

ほんまに、よくされてます。一緒に頑張りましょうね。

 

彼女のココロも少しずつ、少しずつ、リハビリだ。これもまた、日にち薬

 

その後、彼女は、自慢のお庭のお花の説明をたくさんしてくれた。

 

ザイタクって、やっぱりいいですよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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Source: 兵庫県三田市の在宅療養支援診療所「たなかホームケアクリニック」

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