新型コロナウイルスの第一波は収束しつつある。政府は5月14日に39県、5月21日に近畿3府県、そして5月25日には残る5都道県についても緊急事態宣言の解除を発表した。日本政府の対応には色々な批判はあったが、死者数でみると日本の対応は明らかに他国よりも優れていたと言えるだろう。その成功の要因は何か、逆に日本の弱点は何だったかについて、記憶が風化しないうちに一度総括しておくことは重要であると思う。今回も、現場の医療従事者や自衛隊員の活躍は凄まじかった。その一方で、現場の足を引っ張ったのは、またしてもマスコミや評論家、そしてテレビに出たがる自称専門家たちであった。学会で活動する真の専門家であれば、科学的に裏付けのない情報を発信すれば、学会における自らの立場が危うくなる。しかしながら、当該分野の専門家でなければそうしたリスクはない。また、原発事故については、真の専門家が「御用学者」とのレッテルを貼られて発言に疑いを持たれたことで、発言の機会を封じられることが多かった。その結果、人の恐怖心を煽る言論がさらに勢いを増すことになった。
これと似たことが、今回の新型コロナウイルス問題でも繰り返された。テレビでコメンテーターとして登場したのは、学会から干された非主流派の医師や、そもそも医療関係の資格をもたない自称専門家であった。彼らは、口を揃えて盛んにPCR検査拡充を主張した。その無責任な意見に従わなかったことが、医療現場の混乱を防いで日本の成功をもたらした要因の一つになっている。
PCR検査拡充の弊害は、そもそも陽性と分かっても治療法がないこと、偽陽性や偽陰性などの検査精度の問題があることによるもので、上述の医師たちはこれらの論点を丁寧に説明していた。偽陽性・偽陰性がもたらす弊害は、ベイズの定理と呼ばれる理論で説明できる話で、私も大学のパターン認識の講義でいつも話す内容なので、それを素人にも分かりやすく説明する動画を作って微力ながら援護射撃に加わらせていただいた。
澁谷医師は、PCR検査の数を増やすべきだというコメントを繰り返し求められたのに対し、今の段階でPCR検査をいたずらに増やそうとするのは得策ではないとその都度コメントしたそうである。にもかかわらず、欧州でのPCR検査は日本よりかなり多いというコメントだけが切り取られて、それにテレビ出演のコメンテーターがPCR検査を大至急増やすべきだとの発言をかぶせて報道された。澁谷医師の暴露を受け、テレビ朝日は訂正報道を行わざるを得なかった。
このように、マスコミが好き勝手偏向報道をできる時代は終わりつつあるのは、非常に喜ばしいことである。そもそも、新型コロナウイルスへの対応は人の命がかかった問題である。その問題について、偏向した情報発信を続けたテレビ局の情報番組の関係者は万死に値する。逆に、それに対抗して彼らを打ち負かした医師たちには最大限の称賛を送るべきであろう。
執筆者:掛谷英紀
新型コロナ第一波を総括するマスコミが好き勝手偏向報道をできる時代は終わりつつあるのは、非常に喜ばしいことである。そもそも、新型コロナウイルスへの対応は人の命がかかった問題である。その問題について、偏向した情報発信を続けたテレビ局の情報番組の関係者は万死に値する。
Source: 身体軸ラボ シーズン2
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