この危機が露呈したもの

内科医

    コロナ対策その他に追われて,先月はblogの更新ができませんでした.その上例年以上の猛暑が拍車をかけ,体調維持に気を遣う日々です.

    さて,ある程度予想はしていたことですが,やはり第2波の到来は避けられなかったどころか,予想以上に早く到来してしまいました.
 緊急事態宣言が解除され人々が開放感に浸ってしまい感染対策が疎かになってしまったということもあるでしょうが,経済活動が再開すれば感染のリスクを完全にゼロにすることなど不可能ですし,何より抗ウイルス薬やワクチンが未完成なわけですから,第二波,第三波が来ないと考える方が不自然です.

 ただ,さすがに第一波で学んだノウハウが生かされ,人々の感染予防への意識も向上していますので,悲惨な感染爆発は今回も避けられそうですし,ワクチン開発も各社が凌ぎを削っており来年初頭までには我が国でも接種の目処が立つようです.しかしながらそれによってコロナが完全に収束するかどうかは残念ながら誰にもわかりません.

 今私たちにできることは,適切なマスクの使用,頻繁の手洗い,うがい,換気,可能な限りの三蜜の回避,体調管理による免疫能の向上など,できうる限りの感染予防策をとり,感染者が1人でもでたらクラスター化を防ぎ,出た時は速やかに潰していく,そういった地道な方法でこの厄介な敵と上手く付き合っていくことでしょう.何もこんな生活が永遠に続くのではないわけですから,ひたすら感染の収束を祈ってポジティブ思考でいくしかないと思います.

 当院も,感染の基本対策に加え,装着しやすいフェイスシールド,センサー付きのアルコールディスペンサーや水道,キャッシュレス決済の導入など,さらなる手段を追加しました.

 ところで今回のコロナ禍においては,感染者やその家族に対する誹謗中傷や差別が大きな社会問題になっていますが,心からの憤りを感じざるをら得ません.

 確かに,基本的な感染対策を無視して自己中心的に振る舞ったが故に感染したり感染させたりした場合は非難されてもやむを得ないかもしれません.
 しかしどんなに注意したとて感染することもある,外出や規制は控えるように,人混みに行かないようにと言われても,仕事ややむ得ない事情でそうせざるを得ないこともあるわけです.
 
 自らや家族への感染リスクに常に怯えながらも医療や介護の現場の第一線に立たなければならない我々医療従事者やその家族に対する心ない非難や差別.
 自粛の拡大で宅配の利用が激増して多忙を極める中,一生懸命に荷物を届けてくれる宅配業者に,労いの言葉をかけるどころか,いきなりアルコールを吹きかけたりする蛮行.
 感染者が出たという噂が広がるやいなや,住所や名前を晒してその家族まで村八分のようにする,前時代的な信じ難い愚行.
 どれも言語道断,人間として最低でしょう.
 そもそもそういう人間たちは,自分は決して感染しない,させない,万が一感染しても他人には絶対に迷惑をかけない,医療のお世話にはならないという自信でもあるのか?ということです.

 これはなにも今回に限ったことではありません.
 ちょっとした言動を切り取ってSNS上であげつらい,徹底的に叩いて,時には自殺にまで追い込んだり,少しでも人より恵まれていたり,優れていたりすると強い嫉妬の対象ちして出る杭を打とうとする風潮.何よりもセコく,卑劣なのは,そういった誹謗中傷を匿名で行うこと.本当に意見があるのなら名前を名乗って堂々と意見すればよい,けれどもそれは絶対にできない,というよりそんな勇気なんぞ元からこれっぽっちもない,だからズルイのです.

 良くも悪くも社会を大変革させる大きなうねりを生み出していいる今回のコロナ禍は,はからずも,目を覆いたくなるような人間の醜い,心の荒んだ一面も露呈させてしまう機会ともなったとも言えそうです.


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Source: Dr.OHKADO’s Blog

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