『2型糖尿病』は存在しない[10]異論1:臨床医から

健康法

Ahlqvist博士の提案する『2型糖尿病の新分類』に対して,コメントではなく論文で強力な異論を出した人がいます.

異論1:

従来の『2型糖尿病』で十把一絡げも問題だが,糖尿病患者の病態は 一人一人違うのだから,4つのパターンにひっくるめてしまうことが むしろ弊害を生まないか.

この意見は Ahlqvist論文へのコメントでも実際にかなり出ました.研究畑ではなく,臨床医には 特にその感が強いようです. それを論文で出した典型例がこれです.現時点で,論文という形でAhlqvist分類に真正面から異論を出したのは,この1本だけだと思います.

この論文では,Ahlqvist博士が用いたような全人口データベースではなく,3種類の糖尿病薬(ロシグリタゾン★,メトホルミン,SU薬)の効果を比較した2つの臨床試験(ADOPTRECORD)での患者データを用いています.

★『ロシグリタゾン』=チアゾリジン系 糖尿病薬.日本では未承認.

そして,そのどちらの場合でも,Ahlqvist博士と同じ手法(=Data-driven Cluster Analysis)を用いると,Ahlqvist博士とほぼ同じ結果を得ています.

SAID:重度自己免疫性糖尿病
SIDD:重度インスリン分泌不全糖尿病
SIRD:重度インスリン抵抗性糖尿病
MOD:軽度肥満性糖尿病
MARD:軽度加齢性糖尿病

つまり2型糖尿病は4種のグループ(Cluster)に分かれることが,ここでも再確認されました.

そこは認めたうえで,しかし Dennis博士は 糖尿病患者の病態や,治療に対する応答性は 千差万別であり,4種類に分別して治療法も4種類でよいというのは乱暴だという主張です. おそらく 各国の糖尿病臨床医師は この意見にも賛同するでしょう.

Dennis博士は,Ahlqvist分類によって定義された2型糖尿病の中の各グループ(SIDD,SIRD,MOD,MARD)それぞれが 治療法に対するレスポンスでも同じようにふるまうのかどうかがはっきりしていない,したがって実際の治療にあたって有用な情報ではないと主張しています.

それよりは,性別・発症年齢・HbA1cなど,つまり 糖尿病専門医が従来から用いてきた指標を適切に用いて層別化(分類すれば),患者の糖尿病の進行(転帰)は明快に予測できると主張しています.たとえば 下図のように 発症年齢で層別化した各グループのHbA1cの転帰(悪化)を追跡すると(), Ahlqvist分類のグループ分けでは明瞭な分離がみられない()のに対して,明瞭に分離している.

したがってAhlqvist分類よりも,従来の糖尿病治療の手法が有効なのだというわけです.

また Dennis博士は,Ahlqvist分類にはインスリン分泌データ(HOMA2-β,HOMA2-IR)が必要だが,一般的な糖尿病診療においては,これらは必ず測定されるものではないので,その点でもAhlqvist分類は実用的ではないと批判しています.

実に 強力な反対論です.これに対してAhlqvist博士は どう回答したのでしょうか?

[11]に続く

Source: しらねのぞるばの暴言ブログ

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