サンパウロ州政府が新型コロナウイルスのワクチン「コロナバック」治験結果の発表を急きょ延期して波紋を呼んでいる最中、ジョアン・ドリア・サンパウロ州知事がクリスマス休暇で米国マイアミに行っていたことが発覚し、強い批判を浴びている。コロナバックの効用に関しても疑問の声が上がりはじめている。24日付現地紙が報じている。州政府は、23日に予定されていた治験結果報告をもって国家衛生監督庁(ANVISA)へのコロナバック登録申請を行った上、来年1月25日からサンパウロ州での接種開始を計画していた。ところが、今回の延期でその日程が危うくなっている。
加えて、ブタンタン研究所のジマス・コーヴァス所長がこの日の記者会見で語った「コロナバックは少なくとも50%以上の効用がある」という発言が、むしろ信頼性を下げるような反響を招いている。
それは「50%」という数字が、これまでに治験結果が発表されたワクチンよりもかなり低い数字であるためだ。米国のファイザー製薬がドイツのビオンテック社と共同開発したワクチンの場合は95%、米国モデルナ社は94・5%、ロシアのスプートニクVは91・4%だ。保健省が最優先で採用予定で他のワクチンに比べ安価、大量生産も可能とされているオックスフォード大学とアストラゼネカ社のワクチンでも有効率は62%と発表されている。変異種が非常に多いインフルエンザのワクチンの有効率は一般的に50~60%と言われている。「50%以上」という数字は決して低いものではないし、コロナバックの場合は、他のワクチンではあまり行われていない高齢者や子供への治験も行っていることなどが、有効率を下げた可能性もある。だが、他のワクチンが発表している有効率の高さと、世間のコロナワクチンに対する不安感からすると、この数字では物足りないとする声は少なくない。
コーヴァス所長らは、ブラジルでの治験結果が他の国での結果と異なるため、シノバック社が他国のデータと比較・検証したいから、治験結果の発表を待つように頼んできたとも説明している。
23日に行われる予定だった治験結果発表の記者会見に、ドリア知事が参加する予定が最初からなかったこと、その理由が米国マイアミでの休暇だったことが発覚したことで火に油を注いでいる。同知事は23日午後2時過ぎに、「ロドリゴ・ガルシア副知事がコロナウイルスに感染したこと」を理由に公務に戻ることを宣言したが、すでにマイアミに渡航済みで、本当は1月3日に帰国する予定だったことも報じられた。
ドリア知事は21日に「家族奉仕で10日間、休職する」と発表していたが、マイアミ行きの話はしていなかった。現在、米国はブラジルからの一般渡航を禁じているため、軍用機を使って渡航したのではと見られている。
このマイアミの件には、すでに多くの政治家から批判の声が飛んでいる。ドリア知事は、コロナ対策軽視が国の内外で批判されているボルソナロ大統領に対抗し、「コロナ対策に熱心」との印象をアピールしており、コロナバックの実績をひっさげて22年の大統領選に臨みたいとしていた。その意味で、今回のコロナバックの件がイメージダウンになることを懸念する声もある。
米国ではすでに100万人以上が予防接種を受け、メキシコとチリでは24日にファイザー社製ワクチンの緊急接種がはじまった。ロシア製ワクチンの緊急接種を決めたアルゼンチンにもワクチンが届いた。だがブラジルでは、まだ緊急接種を申請したワクチンも、正式承認されたワクチンもない。
https://news.yahoo.co.jp/articles/f77f39a1a8308a5dab6a1abdca49d83067d1ea2b
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Source: 身体軸ラボ シーズン2
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