2021年 糖尿病治療は変わるか[7完] 2013年にタイムスリップ?

健康法

先月(11月8日) TBS系列で全国配信されている『健康カブセル! ゲンキの時間』という番組で,『まだ間に合う! 糖尿病対策』が放映されました.

ゲンキの時間
(C) 中部日本放送 CBC

とくにお粗末だったのが;

  • Q.炭水化物を控えると糖尿病予防になる︖
    • 先生曰く、糖尿病の発症に関係するのは炭水化物ではなく脂質。炭水化物を制限すると、短期的には血糖値や体重減少に効果がありますが、長期的な効果・安全性については分かっていないとの事。さらに、極端に炭水化物を減らすと、脳のエネルギーである糖が不足し、集中力の低下やイライラの原因につながるそうです。
  • Q.痩せていても糖尿病になる︖
    • 日本人は、内臓脂肪がつきにくい生活をしていたため、インスリンの分泌量が少ない体質なのだとか。そのため、そんなに太っていない人でも、内臓脂肪が増える事によってインスリンが働きにくくなり糖尿病を発症しやすいそうです。

糖尿病が脂質で発症するというエビデンスはありません. なので,そこをうまく『発症に関係する』で逃げています.

『極端に炭水化物を減らしても』脳のエネルギーは不足しないことは,厚労省の『日本人の食事摂取基準 2020年版』にもこう書かれている通りです.

脳は、体重の2% 程度の重量であるが、総基礎代謝量の約20% を消費すると考えられている5)。基礎代謝量を1,500 kcal/日とすれば、脳のエネルギー消費量は300 kcal/日になり、これはぶどう糖75 g/日に相当する。上記のように脳以外の組織もぶどう糖をエネルギー源として利用することから、ぶどう糖の必要量は少なくとも100 g/日と推定され、すなわち、糖質の最低必要量はおよそ100 g/日と推定される。しかし、肝臓は、必要に応じて筋肉から放出された乳酸やアミノ酸、脂肪組織から放出されたグリセロールを利用して糖新生を行い、血中にぶどう糖を供給する。したがって、これは真に必要な最低量を意味するものではない。

日本人の食事摂取基準(2020 年版) p.153 厚生労働省

この番組を見ていて,思わずカレンダーを確認してしまいました.『2013年にタイム・スリップしたのか?』と. まったくあの頃の学会主流の主張そのまんまです.

もちろんテレビ番組は 学会の公式発表ではありませんが,『糖尿病診療ガイドライン 2019』『糖尿病治療ガイド 2020-2021』などの医師向けの資料では,既に路線転換を表明していますし,本年6月 日本糖尿病学会 新理事長に就任された 植木浩二郎先生も 『理事長挨拶』 の中で;

残念ながら、科学的根拠に裏打ちされ患者さんの病態や社会環境を考慮して個別化された食事療法や運動療法についての研究は、まだまだ進んでいません

と述べているのですから,患者を馬鹿扱いした こんな番組がまだ作られているとは,実に情けないことです.

また『痩せていても糖尿病になる︖』という質問に対して,『そんなに太っていない人でも、~糖尿病を発症しやすいそうです』を回答にしているのは,典型的な印象操作です.

この回答は『そんなに太っていない人でも』であって,『痩せている人』という質問の対象をはぐらかしています. しかし,この番組を見たほとんどの人は十中八九『痩せていても糖尿病になるのは内臓脂肪だ』と思うでしょう. そう思わせるように,うまく表現を工夫しています.

2021年 糖尿病治療は変わるか【完】

Source: しらねのぞるばの暴言ブログ

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