新型コロナの抗体[2完] コロナの記憶

健康法

新型コロナに感染した人が幸いにも回復した場合,その人の血液中からは コロナの抗体が検出されます. 免疫システムが作動したわけです.そしてその時作られた抗体の量は,感染していた時の症状の重さに比例していることが確認されています.

この抗体がそのまま一生保持されていれば,その人は 二度と新型コロナに感染しない,正確に言えば 再感染しても 症状は軽くて済むわけですが,さすがにそれはないでしょう.

抗体の保持期間

新型コロナに感染したため,免疫システムがフル回転した結果として 体内に作られた抗体は,その後継続的に再感染していない限りは,いつかは不要になって消失してしまうはずです. その期間は1か月程度というデータもあり,前回記事のように6ヶ月後でも確認できた,と諸説入り乱れています. ただ,抗体産生量は コロナに感染した際の症状の重さに比例しているようなので,症状が重かった人はそれだけ多くの抗体が残っており,したがって長期間保持されている,ということだと思っています.

つまり,いつかは抗体は消えてしまいます. では,その後は 元の無防備な状態に戻ってしまうのでしょうか?

コロナの記憶

新型コロナに感染し,幸いにも回復した人について,回復後6ヶ月経過した時点で経過観察を行った事例が報告されています.

Evolution of antibody immunity to SARS-CoV-2

Natureの Accelerated Article[特急掲載記事]です.これは 学術的意義が極めて高いとみなされた文献であり,通常の掲載承認手続きをすっ飛ばして,緊急掲載されたものです. Natureのような権威ある学術誌ではめったに行われません.

この文献によると,回復後6ヶ月の時点で対象者(87人)は,全員PCR検査で陰性になっていました. つまりもはや体内にコロナウイルスは残存していないと考えられます. これを反映して,感染した時に 体内で産生された免疫抗体(=IgGIgM)も減少していました. 特に 症状の重かった人ほど,その減少幅は大きかったようです. 症状の軽かった人は,抗体量が もともとそれほど多くなかったので,その減少幅は小さくなっています.

では,このまま抗体が減少し,やがて消失すれば,新型コロナに再感染した場合,またもや重症化する可能性があるのでしょうか?

しっかり覚えたぜ

この文献がNatureに特急掲載された理由は,以下の発見があったからです.

体内で過去に発生した免疫反応を記憶しているメモリーB細胞が,新型コロナについても有効であり,再感染した場合は,ただちに以前よりも早く抗体を作ることが確認された

つまり,最初に新型コロナに感染した時はひどい目にあったとしても,二回目からは 以前の記憶を生かして より俊敏に立ち向かえるというわけです.

このことは 新型コロナが蔓延して感染者が増えていっても,やがて『経験済み』の人が増えるにつれて終息する,すなわち『集団免疫』の完成が期待できることを意味します.
もうしばらくは耐えましょう.

新型コロナの抗体【完】

Source: しらねのぞるばの暴言ブログ

コメント

タイトルとURLをコピーしました