コロナ禍こそ「知」を求めて

内科医

 今年もついに半年が経過,そしてコロナ禍が始まって1年半,日本でもワクチンの接種が加速し,この忌まわしき敵との闘いも佳境に入りましたが,インド型変異株の急増など,まだまだ油断の出来ない生活が続きそうです.

 私はといえば,医師会の会議や学会等への参加はリモートがメインになり,face to faceで他の先生方と顔を合わせる機会は激減しました.趣味の合気道やサックスは感染対策をしながら行っていますが,恒例の演武会や発表会は昨年に続いて今年も流れてしまいましたし,三宮の夜の街に繰り出すような機会ももちろん激減,ある意味健全な生活を?送っています(笑)

 そんな生活の中でも唯一増えたことは,家呑みと読書です.

 私はもともと書物を読んで勉強するのは好きでしたが,勤務医の時は昼夜を問わず激務で,書物といえばどうしても仕事関係の専門書ばかりでした.

 しかし,開業してからは,多忙ではあるものの当直や夜間の呼び出しがほとんどなくなったため時間の管理が容易になり,精神的肉体的に余裕が出てきたこと,医療やクリニック経営を通じて社会の諸問題に目が行くようになったこと,そしてなによりも,年齢を重ねるにつれ,知らなかったことを知りたいという知識欲が掻き立てられるようになったことが,読む本の多様化と増加に繋がっています.

 私の読書タイムは主に就眠前の約30分です.
 夜のしじまの中,静かに本を読む時間が至福の時間となりました.日々新たな知識,新たな知見に出会うことは何者にも代え難い喜びであり,つい狭小になりがちな視野が少しでも拡がった気がして,明日への活力にもなります.

 読書の分野は様々なものに及び,特に歴史なかでも世界史,そして宗教や民族,国際政治,経済,社会問題といった,主に人文分野の本を乱読するようになりましたが,時には科学や自然など,元来得意分野である理系の分野の本にも触れます.

 世界があっという間にグローバル化されてしまい,それと共にさまざまな社会問題が顕在化している現代社会を生きるためには,どうしてもこういった分野の知識が不可欠だと実感しています.

 たとえば,マスコミの報道の仕方にもかなり問題がありますが,我々日本人にとってイスラムといえば過激な思想とかテロとかというマイナスのイメージばかりが先行しますが,イスラムの教義や文化を全く知らずして,自分たちの住む世界の常識のみを振りかざしてただ一方的に批判するのは,あまりにも偏狭な考え方ではないかと思います.
 それにイスラムとはどういうものなのかということを知ろうとすると,必然的に中東の地理や歴史,ヨーロッパなど他国との関係,さらに他の宗教との違いなど,知るべきことが結局多方面にわたってくるわけです.

 確かに今の時代,ネットで検索すればあらゆる情報が容易に手に入りますが,ネット上では断片的で無責任,不正確な情報が,言論の自由の旗印のもと入り乱れていることは周知の通りで,私の専門の医療のそれについて考えただけでも,さもありなんと思います.
 ネットに上がっている情報を真偽も確認せずに鵜呑みにしたり,SNSで他人を自殺にやるほど誹謗中傷したり,マイノリティに対する激しい差別を行ったりすることが社会問題になっていますが,これも自分の都合のよい情報だけを断片的に切り取ってしまうことにより,物事を偏見なく客観的かつ広い視点から俯瞰することができなくなっているが故で,簡単に言えば「井の中の蛙」ということです.

 ソクラテスの言葉に「無知の知」というのがありますし,わたしも数多くの愛読書があるアジア太平洋大学の学長の知の巨人,出口治明さんは,知識を増やして人生を豊かにする方法は「人,旅,本」であると述べています.

 でも小難しいことはさておいて,やはり「知る」ということは面白いし,ワクワクする.私が本を読む理由は結局それです. 

 さて,今晩も寝る前のひと時,新たな知の世界へ飛び込もうかな,でも偉そうなことを言いながらも,コロナ禍が終わったら,たまにはパーッと夜の街へも飛び込もうかな,というのが正直な気持ちですけどね(笑)


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Source: Dr.OHKADO’s Blog

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