『新型コロナのワクチンを接種しても,効果がない』などというデマがSNSなどで広がっているようです.
たしかに,ワクチンを接種しても 感染しなくなるわけではありません. しかし感染しても症状が顕在化したり重症化する確率は確実に低下します.それを証明する報告がイスラエルから発表されました.
総人員 12,586名というイスラエル最大の病院 シバ医療センターでの報告です.同センターでは 2020年12月から2021年4月までの間に91%の人がファイザー社ワクチン2回接種を完了していました.
ところが2021年初頭にコロナ第3波がイスラエルを襲い[★],ピーク時の2021年1月14日にはイスラエル全土で 1日に8,424人が感染するという事態になりました.イスラエルの人口は 905万人なので,これは 日本で言えば1日に11万6千人の感染者が出たことに相当します.
[★] この第3波は,現在世界で猛威を振るっているインド株(デルタ株)ではなくて,英国株(アルファ株)です.
そこで シバ医療センターでは,ワクチン接種完了者のコロナ感染(= Breakthrough Infection;ブレークスルー感染)の有無を徹底的に調査しました.
その結果,ワクチン接種済みなのに 39人が感染したことが判明しました.
この人たちの感染源は,判明している限りでは,57%はワクチン未接種の家族(子供など)から,30%はワクチン未接種の病院職員からでした,
39人の感染者の内,26人は軽度の症状(上気道うっ血,筋肉痛,発熱または悪寒,および嗅覚または味覚喪失)でいずれも入院は必要なし,ただしそのうち9人(23%)は、自宅隔離機関の10日を超えて勤務を休みました。 残りの13人は無症状でした.つまり重症者はゼロでした.
さらに,感染した人と感染しなかった人とを比較調査(Case-Control Study)したところ,以下のことが判明しました.
ブレークスルー感染してしまった人は,感染時点(図 左) および 感染症状のピーク時点(図 右)のどの時点においても,中和抗体量(上段)およびIgG抗体量(下段)が,感染しなかった人に比べて少なかったのです.
このことは 同じワクチンを同じ時期に接種されても,個人差により生成する抗体の量が異なり,相対的に抗体の少なかった人が 感染しやすくなっていたことを示唆しています.
しかし ブレークスルー感染しても,重症化した人や入院が必要になった人はゼロでした.
デマ情報に踊らされないようにしましょう.
Source: しらねのぞるばの暴言ブログ
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