【背景】
腹臥位療法は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)患者での生存率改善と関連しており、人工呼吸管理が必要なCOVID-19患者に対しても実施されている。イタリアNiguarda
Ca’
GrandaのLangerらは、2020年2月24日から6月14日にイタリア24施設のICUで呼吸不全により侵襲的換気を要した成人COVID-19患者を対象とした後向コホート研究を実施し、腹臥位療法の使用と臨床的特徴・アウトカムの関連および腹臥位療法による病態生理学的影響を調査した。
【結論】
1,057名の患者のうち、軽症ARDSが15%、中等症50%、重症が35%であり、死亡率はそれぞれ25%、33%、41%であった。腹臥位療法は61%で実施された。腹臥位療法が行われた患者は重症度が高く、死亡率も高かった(45%
vs. 33%)。腹臥位療法はP/F比を有意に増加させたが、呼吸器コンプライアンスとventilatory
ratioに変化は見られなかった(n=78)。78%の患者では腹臥位療法によりP/F比が20
mmHg以上増加し、この酸素化応答が見られなかった患者では呼吸不全が重篤化し、ICU死亡率が高かった(65% vs. 38%)。
【評価】イタリア第一波からの報告である。腹臥位療法は換気-血流ミスマッチの改善を通じて、酸素化の改善をもたらすと考えられた。本研究では検討されていないが、死亡率の改善を示唆する研究も複数あり、安全に実施可能な施設では腹臥位療法が考慮されるだろう
薬や道具を使わず、新型コロナウイルス感染症患者の肺の機能を改善させるということで、にわかに注目を集めているのが、「腹臥位(ふくがい)療法」だ。
「腹臥位療法とは、患者さんをうつ伏せにさせるという救命措置の手法です。低酸素になった患者さんの血液中の酸素量を増やすことから、急性の呼吸器不全を起こした人に古くから行われていました」
藤野さんのいる大阪大学医学部附属病院(大阪府吹田市)では、第4波の真っ只中だったゴールデンウィーク中、30床あるICUをすべてコロナ用に変えて対応。回復傾向のある患者を除いた、すべてのICU入院患者に腹臥位療法を実施した。
やり方は〝夕方にうつ伏せにして、朝、仰向けに戻す〟というもので、腹臥位療法を行っている時間は12~18時間ほど。これを入院直後から始めて、最短で3日間、最長で1週間続けた。腹臥位療法を行った患者は、多い日で11~12人にのぼったという。
この腹臥位療法の効果について、藤野さんは言う。
「重症の新型コロナの最後の手段は、ECMO(エクモ・体外式膜型人工肺)です。ECMOは肺に代わってガス交換を行う装置で、ダメージを受けた肺を休ませて、呼吸機能の回復を図るために用います。有効な治療ですが、重篤な合併症も起こります。ECMOを装着せず、人工呼吸器だけで回復できるというのが、腹臥位療法の効果といえるでしょう」
この効果は数字でも表れているという。
コロナ治癒に「うつ伏せが有効」という意外な事実薬や道具を使わず、新型コロナウイルス感染症患者の肺の機能を改善させるということで、にわかに注目を集めているのが、「腹臥位(ふくがい)療法」だ。「腹臥位療法とは、患者さんをうつ伏せにさせるという救命措…
野々村は現在、自分で呼吸できるようになったが、再検査で血中酸素飽和度が低下したら再び投薬治療する状態だという。また背中側で肺が硬化し、肺炎の状態は良くなっていないと説明した。
しかし、なぜうつ伏せになることで重症の呼吸器不全が改善するのだろう。
「いくつかのメカニズムが提唱されていますが、特に大きいのは〝潰れた肺胞を広げ、肺が酸素を取り込む機能を高める〟というところでしょう」と藤野さん。
肺は呼吸によって入ってきた酸素を血液中に取り込み、血液が運んできた二酸化炭素を放出している臓器だ。この「換気」を行っているのが、ブドウの房のような形をした肺胞だ。肺が炎症などによってむくむと肺胞は潰れるため、この換気ができなくなる。ベッドで仰向けの状態が続けば、重力の関係で水分や血液が背中側に溜まるため、背中側の肺胞がますます潰れてしまう。
その状態を改善するのが、うつ伏せだ。おなかを下に、背中を上にすることで背中側の潰れた肺胞が開き、換気機能が復活するという。
実際、患者がうつ伏せになるだけで血中酸素飽和度が改善するケースが多いそうだ。酸素飽和度とは血液中の酸素と結合したヘモグロビンの割合をみたもので、パルスオキシメーターという装置で測る。健康な人は100%に近いが、新型コロナの場合、軽症だと96%以上、中等症Ⅰ(呼吸不全なし)だと93〜96%、中等症Ⅱ(呼吸不全あり)になると93%以下にまで落ちてしまう。
コロナ治癒に「うつ伏せが有効」という意外な事実薬や道具を使わず、新型コロナウイルス感染症患者の肺の機能を改善させるということで、にわかに注目を集めているのが、「腹臥位(ふくがい)療法」だ。「腹臥位療法とは、患者さんをうつ伏せにさせるという救命措…
疲れたときにうつぶせ寝してしまうのは、酸素を必要としているから、、ですね。
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Source: 身体軸ラボ シーズン2
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