陸上400メートルハードル世界選手権銅メダリストの為末大さん(43)が、東京五輪でペットボトル飲料が飲み残したまま大量に捨てられていたと報じられたことについて解説している。
発端は2021年9月12日に毎日新聞がアップした「『夢壊された』 感染おびえ、残飯処理 五輪清掃員が感じた失望」という記事。東京五輪開催中に競技会場でアルバイト清掃員をしていたという女性を取材したもので、大会関係者の休憩室に一口だけ飲んで捨てられるペットボトルが大量にあったといい、女性はやりきれない気持ちになったと書いている。
■「誰かにドーピング薬を入れられ出場停止になることを恐れ」
記事がインターネット上で話題を集めた中、為末さんは同日にツイッターを更新。同記事を引用しながら、飲み残したまま捨てる理由を選手目線でこう解説した。
「選手がペットボトルを残したまま捨てるのは、ペットボトルに誰かにドーピング薬を入れられ出場停止になることを恐れ一度目を離したら常に蓋が開いていないものを飲むように教えられている為です」
この説明には、
「初めて知りました!」
「分かると納得です」
「そうなると目を離してしまったら未開封のものに切り替えざるを得ないよな…」といった声が集まっていた。
実際に2017年にはカヌー・スプリント競技の日本選手権で、男子選手がライバル選手の飲み物に禁止薬物を混入させた事件が発覚している。為末さんはこの事件についても触れ、
「このような事例があるため、選手は常に身体に入れるものに対し気を遣っています」
とつづっていた。
「子どもの頃からあんなに好きだったオリンピックなのに、奴隷のような扱いをされて今は悲哀しかありません」。新型コロナウイルスの感染が収まらない中、開かれた東京オリンピック・パラリンピック。東京都内の競技会場でアルバイト清掃員として勤務した50代女性はそう大会を振り返る。新型コロナの感染におびえ、大量の食べ残しや飲み残しを処理しながら、自分たちも「使い捨て」と感じさせられる失望の日々だった。【関谷俊介】大会関係者の休憩室では、スポンサー企業のペットボトル飲料を冷蔵庫から取り出して自由に飲めるようになっていた。一口だけ飲んで捨てられるペットボトルが大量にあり、それを袋から見つけるたびに集積場前の排水溝に中身を流して捨てた。「冷蔵庫から一度取り出すとゴミとなる。未開封のペットボトルも多く、流す時はやりきれない気持ちになりました」。女性は表情を曇らせて言う
毎日新聞 関谷俊介
2002年4月入社。宮崎支局で宮崎県綾町の送電線鉄塔建設問題や県知事汚職事件、佐賀支局で九州電力玄海原発における全国初のプルサーマル発電などの取材に携わった。福岡本部報道部では県警、遊軍を担当し、原発労働の偽装請負事件や原子力防災を取材。東京社会部異動後は、主に遊軍記者として東日本大震災からの復興や福島第1原発事故を取材テーマに据えている。千葉支局を経て、20年4月から再び東京社会部。
Source: 身体軸ラボ シーズン2
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