スペイン風邪とファウチ博士の論文: The Journal of Infectious Diseasesに掲載された論文から残されていたスペイン風邪の犠牲者の肺組織の検体を調べたところ、事実上すべての症例で、重症の急性細菌性肺炎が組織学的に証明されました。上の画像は犠牲者の肺組織の組織学的検査です (図1)。細菌は検体の組織切片中にしばしば大量に見られ、上気道にコロニーを形成するよく知られた細菌「肺病原菌」(主に肺炎球菌、連鎖球菌、ブドウ球菌) による重度の二次的な肺炎が死亡原因であるという点でほぼ一致していました。この二次的な細菌性肺炎がなければ、ほとんどの患者は回復していただろうと見られています。
スペイン風邪による肺炎死亡者の特徴は、1) 標準的な細菌性肺炎菌による二次的な肺炎の発生率が高い事、2) 混合肺炎菌 (特に肺炎球菌と連鎖球菌) 及びその他の混合上気道菌による肺炎の発生率が高い事、3) 細菌の肺への侵襲は積極的で、しばしば「驚異的」な数の細菌や多核好中球、さらには広範な壊死、血管炎、出血を引き起こす事、4) 気管支肺炎や小葉性肺炎が多く、小葉性肺炎とは対照的であり、気管支のびまん性素因による損傷と一致する事、です。
破壊された気管支上皮に沿って膨大な数の細菌が気管支のあらゆる部分に二次的に広がり、その後局所的な気管支の感染が肺実質に侵入したと考えられます。逆に、重篤な肺炎から生還した60%の人々の間では、重篤な慢性肺障害は滅多に起こっていません。
スペイン風邪大流行時の剖検における96件の肺の細菌培養の結果では92.7%から菌が検出されました。検出された菌は肺炎連鎖球菌、ブドウ球菌、髄膜内ディプロコッカスなどです。1887人の被験者を対象とした血液サンプルの培養では70.3%の症例で細菌培養が陽性で、同様の細菌が検出されました。
表3. 大半の死亡原因はウィルス性肺炎ではなく細菌性肺炎であるという結論と一致する、1918年から1919年にかけてのインフルエンザパンデミックにおける証拠のまとめ。
根拠
1) 病理学的証拠
• ほとんどの剖検で、一般的な上部呼吸器系の細菌による重症の細菌性肺炎が認められた。
• タイプ、パターン、症例死亡率において、慢性肺葉性肺炎を含むインフルエンザに関連した細菌性肺炎は、インフルエンザが流行していない時期の典型的な肺炎であったびまん性の「汎肺胞炎」を伴う気管支肺炎が多かった。
• 剖検では、現在ではウィルスの一次変化と考えられているものが早期に、あるいは広範囲に修復されている事が明らかであり、肺炎生存者の重篤な後遺症は最小限であった。
• 1918-1919年のインフルエンザに伴う細菌性気管支肺炎の病理学的像は、より致死率の高い麻疹-細菌性肺炎と酷似していた。
• 1917-1918年に流行した麻疹-細菌性気管支肺炎に酷似していた。
• 混合肺炎は単一病原体肺炎よりも致死率が高かった。
• 肺炎症例は、一様にびまん性の広範な気管支炎および/または気管支炎を示し、その重症度は肺炎の重症度と程度および解剖学的な部位で相関していた。2) 人口統計学的および疫学的証拠
• ほとんどのインフルエンザ症例は、今日見られる典型的な症例であり、軽症で合併症を伴わず、完全に回復した。
• 全年齢における死亡率は、インフルエンザ罹患率や肺炎症例死亡率ではなく、細菌性肺炎罹患率と関連していた。
• 1918年から1919年の5歳から15歳の子供は、発病率は最も高いが、死亡率は最も低く、1889年から1893年および1918年から1919年のパンデミックの前後に見られた低い発病率と同様であり、これはウィルスの毒性だけでは考えられない。
• インフルエンザ関連肺炎の罹患率とインフルエンザによる死亡率は、細菌の “コロニー化流行 “を経験した米軍キャンプで有意に高かった。
• 最終的に死亡した症例におけるインフルエンザ発症から肺炎発症までの平均期間 (10日)は、ウィルス性肺炎よりも細菌性肺炎の方が一致する可能性がある。3) 治療反応の証拠
• 合併症を伴わないインフルエンザの発症初期に厳格なベッドレストを行うと、肺炎や死亡を防ぐ事ができるという、ほぼ世界共通の観察結果がある。
• 肺炎と死亡を防ぐというほぼ共通の観察結果は、細菌性病原体の保菌者からの隔離の効果と一致している。インフルエンザに関連したウィルス性肺炎のうち、パンデミックのピーク時でさえ、細菌への感染がない場合には致命的になる確率は低くなります。ウィルスによって引き起こされた重度の組織損傷であっても、細菌への感染さえなければ修復され、回復する事は多いのです。論文中でファウチ博士は「スペイン風邪のインフルエンザウィルスは、実は弱毒性だったのではないか。もし当時、抗生物質の投与や集中治療を含む早期の積極的な治療があればほとんどの患者を救う事ができたのではないか。」と考察しています。
ではなぜファウチ博士は、今回のコロナパンデミックの感染対策にこの貴重な研究の教訓を生かさなかったのでしょうか。そして、全世界の人類に対して安全性の保証されていない治験中のワクチン「のみ」に頼るような事態を起こさせているのでしょうか。
ウィルスによるパンデミックでは重症化、死因には少なくとも3つの要素が絡み合うでしょう。
1) ウィルスの毒性、
2) 免疫系の制御や暴走、
3) 細菌への二次感染症、です。
ウィルスによる呼吸器系の損傷が細菌の侵入と増殖を促します。免疫系細胞の枯渇や免疫系の暴走が本来の免疫系の防御力を落とし、細菌への感染症を招きます。このように、ウィルス感染、免疫系、細菌感染は独立したものではなく、お互いに干渉しあっています。イベルメクチン、ヒドロキシクロロキンを含めた既存の薬を使った新型コロナ感染症への効果の検証も進んでいるようです。コロナウィルス対策には、人体への危険性が高いワクチンを打つ事しかないという考えではなく、治療薬を含めた早期の治療が何よりも重要でしょう。
現在、世界的に新型コロナウィルスがパンデミックを起こしているわけですが、PCR検査の偽陽性の多さを考えると、そもそもPCR陽性患者の全員が新型コロナウィルスに感染しているわけではないでしょう。そしてPCR陽性の中にはコロナウィルスのために重症化している方もあれば、他の原因で重症化している人もいる事が考えられます。呼吸器系に症状を起こす要因には他のウィルスや細菌、化学物質や物理刺激も存在します。スペイン風邪の致命傷の原因が実は細菌であったように、治療のためにもより幅広い視野が必要と思われます。
それは通常の感冒治療から切り離されることを意味し、、
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Source: 身体軸ラボ シーズン2
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