第24・25回 日本病態栄養学会の感想[4] その定説は本当か その1

健康法

ブログ別館でも『定説を疑ってみる』と考えたことがありますが,

『定説を疑ってみる[1] 人に依らず』
現代社会では,特に 都会生活では,「お坊さん」とは葬式の時にしか会うことがないでしょう. しかし,私が子供の頃育った田舎は,お寺は 今よりもずっと身近なもので…

今回の日本病態栄養学会でも 『定説で ~とされているのは 本当か』を検証した報告が いくつかありました.

『よく噛めば血糖値はあがらない』は本当か

一般に正しいとされている説では,『食事をよく噛んで食べることは健康に良い. 特に肥満者や糖尿病患者は 早食いを防いで食後血糖値上昇が抑えられるので推奨される』です.『一口 100回』とか 『一口ごとに何分かけて』などという『健康法』は よく目にします.たしかに早食いはよくないでしょう.

そこで それが本当なのか 確かめてみよう,という報告です.

一般口演 糖尿病[5] O-187
『白飯の咀嚼回数の違いが食血糖上昇に与える影響
富山短期大学 大森聡

19-20歳の女性(つまり富山短期大学の生徒さんたちですね) 12名が対象者です.

サトウのご飯(小盛り) 147gを15等分して,その1/15の白飯(9.7g)を食べるたびに;

  • 『普通組』は 20回/分の咀嚼回数
  • 『よく噛む組』は 60回/分の咀嚼回数
    • いずれも1分後にのみ込む

という方法です. これを15サイクル繰り返しています. ですから噛む回数が違うだけで,総食事時間はまったく同じです.
なお,手抜きしないように耳掛け型の咀嚼モニターで,きちんと咀嚼回数をチェックしています. こんな機械があるのですね.

よく似た報告はこれまでもありましたが,この実験では 咀嚼回数をチェックし,かつ総食事時間を同じにしているので,咀嚼回数の効果だけが厳密に評価できます.

両組の食後血糖値は以下の通りでした(手書きメモからのスケッチなので正確ではありません)

そうです. よく噛んだ方(60回/分)が 20mg/dlほどですが 血糖値スパイクが大きかったのです.定説とは反対です.

この結果について発表者は『よく噛んだ場合は,口中の唾液アミラーゼによるデンプンの糖化が進み,相対的に糖質割合の高い状態で十二指腸に送り込まれたからと考えられる』と説明しておりました. もちろん,この報告は 早食いを勧めるものではなく,条件によっては よく噛むことが血糖値スパイクをかえって大きくする場合がありますよ,ということでした.

ところで調べてみると,この発表に先立つこと15年前,2007年に既にこういう報告がなされていました.

【噛めば、かむほど高血糖!?】

こちらはざる蕎麦での実験ですが,やはりよく噛んで食べた場合は,食後血糖値のピークが20mg/dlほど高くなっていたので,ほぼ上記実験と一致した結果です.

やはり本に書いてあることを鵜呑みにするにではなく,可能であれば自分の体で調べて確認すべきなのでしょうね.

なお,これを読んで『ご飯がのどを通らなくなった』と言われても しらねのぞるばは責任をとれませんので 悪しからずw

[5]に続く

Source: しらねのぞるばの暴言ブログ

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