治療薬としてのケトン体
ケトン体が,単なる代替エネルギーだけでなく,もちろん『脂肪の燃えカス』でもなく.生理活性も持つ ,しかも 心臓や腎臓には有用な作用を示すとなれば,ケトン体を治療手段として積極的に用いることは当然 期待されます.
実際 SGLT2阻害薬によって,人為的にケトン体を増加させることができるとわかったので,SGLT2阻害薬を糖尿病患者の心疾患や腎症進行の治療薬として用いる多数の臨床試験が行われました.
JAMA Cardiol. 2021;6(2):148-158
多数の試験結果をメタ解析したところ,ケトン体の心臓・腎臓への保護効果は一貫していました.
心血管疾患の全死亡率は,SGLT2阻害薬投与で低下していました. (OverAll ハザード比= 0.85).横軸のハザード比は対数目盛であることにご注意願います.
JAMA Cardiol. 2021;6(2):148-158
また腎症についても 腎症進行速度の低下など,明瞭な改善が見られました. (OverAll ハザード比= 0.62)
JAMA Cardiol. 2021;6(2):148-158
そこで 欧州では,SGLT2阻害薬を 糖尿病ではなくとも 心不全患者の治療薬として用いることが承認されました.
SGLT2阻害薬「ジャディアンス」が左室
ケトン体は『飢餓時だけに生成される非常エネルギー』なのか[12]

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