悪魔から天使に
ケトン体は 昔から有害物と思われてきました. 糖尿病でケトアシドーシスを起こした人の血液から 高濃度で検出されるからです.たしかにケトン体は(アセトンを除いて)アセト酢酸やβーヒドロキシ酪酸という有機カルボン酸,つまり酸性物質ですから,高濃度になれば血液のpHを危険なほど下げてしまいます.しかし,酸性物質だから毒物だというなら,お酢の主成分である酢酸だって有機カルボン酸ですから,毒物ということになるでしょう.有機カルボン酸には それ自体は毒性はありません.
れっきとした病院の糖尿病教室 資料には『油の燃えカス』などと書いてあるようですが,これも『何の役にも立たない有害物』という意味でしょう.
しかし,近年ケトン体の評価は変わりつつあります.しかも正反対に.
かつては 悪魔のように忌み嫌われていたケトン体は,今や 守護天使のようにありがたい存在だと言われるようになりました.
その経緯と現状をまとめたのがこの文献です.
Kolb 2021 『ケトン体:敵から友,そして守護天使に』
ここまでの記事で,ケトン体が 心疾患, 腎症,そしててんかんに治療効果を有することを調べてきました.ここ数年の文献をみると このような報告が相次いでいます.しかし ケトン体の効果はそれだけにとどまりません.
体脂肪を落とす
厳格な
ケトン体は『飢餓時だけに生成される非常エネルギー』なのか[15]

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