イメグリミン速報[2] 血糖値がストンと20mg/dl下がった

健康法

かなり強力な治療を長年継続してきたにもかかわらず,HbA1cが7%~10%から下がらない2型糖尿病患者に対して イメグリミンを追加投与した症例が報告されています.

この報告の特徴は,イメグリミンの追加服用の前後に それぞれ2週間ほどリブレを装着してもらい,イメグリミン服用が血糖値の変動に影響するかどうかを短期的効果で評価した点です. つまり『イメグリミンを服用したら,すぐに何が起こったのか』を調べたユニークな報告です.

前回記事では,服用前後で TIR(血糖値=70~180)が増え,TAR(血糖値≧180)が減少しました. つまり高血糖になる時間が少なくなったのです.ただし この観察研究期間は たかだか1ヶ月ですから,HbA1cに改善はあったとしてもこの短い期間では検出できないでしょう.

そこで,リブレの記録から対象患者全員の血糖値の平均を見ると;

Oda 2022 Table 2より

平均血糖値は20mg/dlも下がっています.これは HbA1cで言えば 0.7%ほど下がったことに相当します.この効果が今後も維持されるのであれば,この試験に参加した人のHbA1cは 6~9%台に下げられることになります. 長年のインスリンや投薬治療でも7~10%台から下げられなかったわけですから,これは大きな効果です.

そこで 同じくリブレに記録された,各自の一日の血糖値変動曲線を平均してみるとこうなっていました.

Oda 2022 Fig.2を翻訳

1日の血糖値変化曲線が,そのまんまの形を保ってきれいに下がっています.たしかにこれなら TARが減り,TIRが増えたことは理解できます.

ただし このグラフを見て気づくのは,たしかに血糖値の1日の変動曲線はストンと下にシフトしているのですが,きれいに形を保っているということです.ですので特に食後の血糖値上昇も ほぼそのままの形です. つまり食後血糖値上昇の幅は それほど小さくなっていないのです.実際 上の表でも,平均血糖値は下がったのですが,変動係数(CV)はほとんど変わっておらず,有意差はありません.

イメグリミンは,GSIS(Glucose Stimulated Insulin Secretion),すなわち 血糖上昇に応じたインスリン分泌を促進すると言われているのに,これはどうしたことでしょうか?

この報告の著者は,『この観察の対象患者にGLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)を使用している人が多かった(32名中,22名がGLP-1RAを単独又は併用で使用)ことが その原因かもしれない』と述べています.

そういえば,イメグリミンの第3相試験で,イメグリミンと他の糖尿病薬を併用した場合,なぜかGLP-1RAだけは それぞれ単独の場合よりもHbA1c低下効果が悪かった【下図】と報告されていました.

ただし,32名をGLP-1RAの有/無で2群に分けて比較しても,有意差はなかったとも述べています.

非常に少人数の観察研究ですから 偶然に左右されやすいので,この点についてはなんとも言えないところです.著者も述べていますが,出発点がマチマチで少数の観察研究ですから,これだけのデータで断定できることは少ないようです. この集団で今後も長期投与を続けていける人の結果が どうなるかが注目されます.

イメグリミン速報【完】

Source: しらねのぞるばの暴言ブログ

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