せんせいな、今日な、仲良しの訪問看護さん来てな言うてくれたんや。
奥さんのパンツ、もう何回も洗ったんやから、十分頑張ってるわよ。
そんな色々気い揉まんと、気晴らしにデイサービス行っといでよ。
お父さんの人生やねんから、自分の人生を歩いたらええ。って。
ワシなんでか知らんけど、涙が出たわ。せんせいな、デイサービス言ってる間にな、
こいつな、また風呂入って溺れとってもな、しゃあないやんな?
そうおっしゃるお父さん、お母さんが足を骨折してからもう半年。
お母さんが病院大ッ嫌いの中、保存療法でここまで乗り切ってきた。
お母さんは、骨折後の暮らしも十分うまくやっている。
這って行く土間のトイレまでの距離を考えた内服排便コントロール。
コタツで寝転びながら摂る食事も嚥下を考慮したポジショニングになってる。
一日朝夕と自力で這って入るお風呂も浴室でのおしっこも安定している。
常に外の庭にある僕に似た狸の置物の事も訪問の度に、見て来い!と気にしてる。
先日は、急に思い立ち、お手製のゴロゴロに息子さんとお父さんに乗っけてもらって
狸と写真撮影もしたそうだ。そして、お父さん。
溺れてもしゃあない言いながら、デイサービスに行く時は、
自動お湯はり装置のコンセントをコッソリちゃんと抜いて
留守の間のお母さんの入浴が無いように、実は配慮している。
お父ちゃん、訪問看護師さんの言葉、嬉しかったよなあ。
ちょっとデイサービス行って気晴らししたらまた、パンツ洗えるやろ?
せやなあ、あんな口悪いけどな、ワシの一度きりの人生の大事な嫁やしな。
ホンマは気が滅入るんやけど、失敗も生きとったらしゃあないんやし、また洗うわ。
お父さんのそのお顔は、訪問看護さんのお言葉がよっぽど嬉しかったのか、
やっと優しい涙目の笑顔になっていた。その横でお母さんは、安心したのだろう。
ワタシは眠いのでもう寝ますってアッチ向きにスムーズに寝返った。
暮らしの中だって、治療を諦めない方法があることを証明してくれた。
診察室でみる彼らの人生はほんの一部で、僕らはそれを言い訳に、
入院治療を強制してはならないと思う。リビングウィルをもっと学ぼう。
医療ってものを、本気でもう一度、見つめ直す時が来ていると思う。
本気で、無理して生きているお父さんはカッコいい。
僕らも彼らに負けず『選択の自由』のために戦おう。
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Source: 兵庫県三田市の在宅療養支援診療所「たなかホームケアクリニック」
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