がんになって、「死にたい」と思ったことがありますか。

『がん患者 自殺リスク1.84倍』――

先日、新聞に載っていた記事

正直、驚いた

  それはみんな、
  つらい治療に耐え、生きようと、
  がんと向き合い、
  闘っていると思ったから

いや、納得した

  つらい治療に、
  痛む身体に、
  先の見えない人生に、
  お金のかかりすぎる治療や検査費に、

  「死んだ方がマシ」

  そう思うから

新聞の記事によると――

  がんと診断された患者が
  2年以内に自殺するリスクは一般と比べ、
  1.84倍高いことがわかった
   (厚生労働省研究班の調査より)

  調査は、
  2016年にがんと診断された患者、
  約107万人を分析、
  2年間の追跡調査で
  自殺者数や時期を集計し、
  一般と比較したもの

  結果、診断から2年以内に
  自殺した患者は660人だった
  (一般の1.84倍)

   ≪詳 細≫

   ○診断から1か月以内・・・4.40倍

   ○診断から2~3か月・・・2.61倍

   ○診断から4~6か月・・・2.17倍

   ○診断から13~24か月・・1.31倍

    ※自宅で死亡・・472人(約7割)
     入院中・・・・数パーセント

  診断から期間が短いほど
  リスクが高い傾向があること

  さらに、
  がんが進行している患者ほど
  自殺のリスクが上昇

  一方、年齢や性別による差は
  認められなかった

   ≪課 題≫

   ○外来通院中の進行がん患者を
    対象とした対策について、
    今後、検討する必要がある

   ○診断後、早期の段階で
    リスクの高い人をみつけて
    アプローチすることが大切

   ○診断から2年経過しても
    リスクが高いことから、
    長期にわたる対策が必要

   ○外来のがん患者やその家族を
    しっかり支援できる、
    漏れのない仕組みづくりが必要

   ちなみに海外では、
   適切にリスク評価できなかった人の中に
   自殺したケースもあるという

    ≪個人的な感想≫

    きっとそのリスクを見抜くことは
    難しいと感じる

    なぜなら、私なら、
    そんな素振りは見せないから

    本当に自殺したいと思っている人は、
    誰にも気づかれないようにすると思う
     (全てではないと思うが)

私は、
がん患者の私が、

「死にたい」

そう思うのは
いけないことだと思った

生きるために続けている治療

副作用に耐えかね、
うつに苦しみ、
何度も命を絶つことを考えた

生きていたところで、
これからの人生も悲観しかない

なにを目的に
これから生きていけばいいのか...

それでも、せっかく救ってもらった命

「生きていかなければ
 ならないのか...」

と、
プレッシャーに似たものを感じていた

それに、

「がんになって、命が短いことを知って、
 生きたくても生きられない人がいる」

そう思うと、

「死にたい」

と、思うことが罪にも感じた

贅沢にも思えた

でも、

「死にたいと思ったことがある」

という、
その一言をふと口にしたことで、

「私も」
「自分も」
「私も同じ」

と、意外にも、
同じ気持ちのがん患者が
少なくないことを知ったのだ

それほど“がん”という病は、
人生そのものに入り込んでくる

あの母でさえ...

昔、自殺のニュースを見て、

「死ぬ気になれば、
 なんでもできるでしょ!!」

と、
自殺という道を選ぶ人たちの気持ちが
全くわからなかったあの母でさえ、

「がんになって
 初めて“死にたい”と思った」

と、口走っていたくらいだ

  ちなみに、

  母がよく言っていた、
  世間でもよく言われていた、

  『死ぬ気になればなんでもできる』

  という言葉

  「本当にそうだろうか...」

  と、私は昔から疑問に思っていた

  私には、できないことはある

  死ぬ気もないけrれど、
  でも、やりたくないことはある

  二十歳のとき、
  30代くらいの
  会社員と話をしたことがある

  どこの誰かも知らない、
  初めて会った男性だ

  まだ二十歳

  親元を離れ、
  生きることに迷っていたとき、

  「“死ぬ気になればなんでもできる”
   と言うけれど、
   私にはできないこともある」

  と、ぽつりと言った

  男性には、

  「なに甘えてるの!!
   死ぬことを考えたら、
   なんでもできるでしょ!!
   死ぬ気で頑張りな!!」

  と、説教を喰らうと思っていた

  が、男性は静かに、

  「人間だもん、
   できないことはあるよ」

  そう諭すように言ってくれたのだ

  私は今でも
  彼のその言葉が忘れられなくて...

  「きっと、サラリーマンも
   大変なんだろうな...」

  と、二十歳ながらに思ったっけ

“死”という道を選ぶのは本人

「でもやっぱり、
 その道だけは選ばないでほしい」

そう思う

“死”を考えながら生きてきた私が言うのも
なんか変だけど――

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Source: りかこの乳がん体験記

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