がん患者の思いは、今も昔も変わらなくて... ~第173回 がんサロン~

その他

21.6℃

清々しい風だ...

暑くもなく、寒くもなく

雨も降らず、
気持ちのいい昼下がり

そんな中、『がんサロン』へ――

重い足を引きずりながら
バスの停留所に着くと、
空には部分的にハロが出ている

2024/06/19 がんサロン ①

天気予報では、

「今週、今日が最後の晴天。
 風もなく穏やかです」

そう言っていたが、
日傘をしっかり握っていないと
飛ばされそうな風だ

今年はすでに2か月ほど
強風が続いている

「ようやく強い風から解放される...」

と、思っていたが、
そうはいかなかったようだ

たまたま座ったバスの座席

窓のほうを見ると、
『優先席』のシールが貼られている

「まぁ、乗客も少なしいし、
 一応バッグに
 “ヘルプカード”もつけてるし、
 いっか...」

と、そのまま陣取る

2024/06/19 がんサロン ⑨

最近、なんとなくこのカードに
気持ちが頼っているような気がする

サロン会場へ行くいつもの
“心臓破りの坂道”

今ではすっかり、
“股関節悪化の坂道”と化しているが...

上りきると、
公園の入り口が見えてくる

2024/06/19 がんサロン ②

もう6月

さすがに緑が濃くなっている

2024/06/19 がんサロン ③

中に入ると、一面、シロツメクサ

「あれ?
 前からシロツメクサあったっけ...」

人間の記憶とは、曖昧なものである

2024/06/19 がんサロン ④

花壇にも花が植えられている

2024/06/19 がんサロン ⑤

木々も鬱蒼としてきた

2024/06/19 がんサロン ⑥

噴水は、まだ水が冷たそうだ

2024/06/19 がんサロン ⑦

木々の緑....

青い空...

白い雲...

このコントラストが
たまらなく美しい

「ただ話を聞いてほしいだけなのに」

「“うん、うん”って
 聞いてくれるだけでいいのに」

「アドバイスがほしいわけじゃない」

「なのに、少し不安を口にすると、
 “もっと頑張りな”と言われる」

「“そんなことばかり言っていたら、
 病気に負けるよ”って...」

「“もっと前向きにね”って...」

「やっぱり、
 がんを経験していないひとには
 わからないよね」

そんな話を聞いていたら、

「がん患者の思いは
 昔と変わらないな」

そう思った

逆を返せば、

「今も言われることは
 同じなんだな」

がんの治療は日進月歩

なのに、がん患者の心は置いてきぼりだ

やっぱり“がんになる”ということは
不安や悲しみ、つらさがつきまとう

2024/06/19 がんサロン ⑧

「いいよ、いいよ。
 ここではなにを話してもいいんだから」

「ここはみんな話を聞いてくれるから」

「ここで愚痴を言っても、
 誰もなにも言わないから」――

そう、

ここは、
不安なこと、つらいこと、
なんでも話せる場所

理解もしてくれる

誰も否定はしない

みんな同じ思いをしてきたから

夕刻

少し赤く染まった南の空に、
白い月が浮かんでいた

2024/06/19 夕刻の月

明々後日が満月

天気予報は曇りか雨

観られそうにないな...

さ、

あしたからまた日常――

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Source: りかこの乳がん体験記

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