太陽のような涙目の笑顔。

医療機関

男性超高齢介護者の孤独。

 

 

先生、先行きが不安になる気持ちなんて。

妻がこうなるまで、ワシ知らなんだです。

この年で初めて経験し今頃学んでおります。

 

金婚式は過ぎ、もう60年ほど仲良しで暮らしてこられた。

 

 

どっちか言うと仲良しな方やったんですよ、ワシら。

そう話されるお父さんは、最愛の妻の介護をしている。

奥様は、脳卒中で言葉が出ない。食事も胃瘻で、全介助。

 

先生、親子の絆言うのもあるやろけど、

夫婦の絆って言うのもある思うんや。

せやけど、こうなってな初めて知った。

こんなにも穏やかな寝顔を見れるんがこんなにも幸せな一方で、

もの言わんことが、こんなにも寂しく辛いもんやとは知らなんだ。

90近くなって初めて知った気持ち。言葉にできんほど複雑や。。。。

 

 

僕らの取り組むザイタク医療の訪問診療では、

人生の最終段階での言葉にできない苦しみに、

診療医の僕が、こうして患者さんやご家族と、

向き合うことができるよう、チームでサポートし、

こんな大切な時間を捻出してくれる。ありがたい。

 

在宅診療の患者さんが増えてる今日も、

お父さんが話し始めるまで待つことができ、

お父さんの言葉をちゃんと聴けて良かった。

 

先生、お忙しいのに、こんな爺さんのたわいもない話で、

診療の手を止めてしまい申し訳ない。ありがとうございます。

太陽のような涙目の笑顔でこう話された。

 

 

お父さんは、玄関まで送ってくれて、

訪問車が、角を曲がるまで、ずっと、

手を振って見送ってくれた。

 

ザイタクは、今日もやっぱり、素敵だった。

 

お父さんの話を聴いてこの曲が頭に浮かんだ。

良かったら聴いてください。

 

 

 

 

 

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Source: 兵庫県三田市の在宅療養支援診療所「たなかホームケアクリニック」

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