今年こそ、認知症に冷たいこの街を、人のやさしさで温めたい。

医療機関

お正月、僕は幸せなことに

『ザイタク』と言う居場所があった。

 

元日朝に電話が鳴る。年末急遽、お家に帰りたい

ってことで、ご紹介のあった膵臓がんのお父さん。

 

朝の息がいつもと違う。下顎呼吸?なのでしょうか?

 

お家に伺うと、まさに、下顎呼吸。

穏やかではあるが、もうあと数時間。

 

沢山のご家族が囲んで、最後の時を過ごされた。

呼吸停止後、いつものように最期の「心音」を、

小学生くらいのお孫さんらにも、聴いてもらう。

 

旅立たれたお父さんが、大切にされたお孫さん達。

お父さんからの心音が最後のお年玉のようだった。

 

 

 

 

そのお看取りの後、

僕も帰ってお節料理と日本酒でもしようと、

ガソリンスタンドで、ガソリンを入れてたら、

目の前の車道中央を一人歩く男性。

先を急ぐ自動車が数台彼の後ろに連なってイライラしてる。

さっき、旅立たれた方よりももう少し上の年齢で、

その男性自身も、先を急いでおられるようだった。

一生懸命に、クロックスで足を引き釣りながら。。。

 

元日だけど、皆さん忙しない感じだったので、

その男性には、誰も声掛けする様子もない。

有馬富士の山が見える方向へ、必死に歩いておられるし、

来ている服はなぜか薄汚れてて、履いているものはクロックス?

 

ガソリンを急いで入れ終わり、なんか気になったので、

今日はこの後、お節と日本酒以外に予定もなかったので、

その男性を追っかけて行って、声をかけることにした。

 

お父さん、お父さん、どこ行くん?

 

え?ワシか?ワシな、三ノ宮帰るねん。

あの山越えたら、うちに帰れるやろ。

 

六甲山の方向の真逆の有馬富士を目指されていた。

 

山越えるのに、歩いて帰んの?

そりゃ無茶ですやん。どこいっとったん?

 

配管工事終わって渚の湯に浸かって、

ほんで、今日は一日や、ついたち。

テレビで、ギャーギャー言うてんやん。

お正月になったから、うち帰んねん。

あんちゃん、乗っけてってくれるんか?

 

ポケットから、お金は一銭も入ってない財布を見せて、

そこには名前と住所がセロハンテープで張り付けてあって、

なんか、押し込まれたケアマネさんらしき名刺もある。

 

おとうさん、とりあえず、お巡りさん連絡するから、

ちょっとここで一緒に待っときましょう。

 

待ってる間に財布にあったケアマネさんに電話。

もともとの家は海側の都会で、今はこの山側の田舎にある、

サ高住⁈らしき所で暮らされておられる男性のようだった。

 

それにしても、そのサ高住からここまではかなり距離がある。

元日の午前中、ずっと、ひとりで歩いて、ここまで来られたのだろう。

 

いろんな事情があり、施設で暮らしてもそれは仕方がない。

ですが、その施設も、離所に気が付いていない。そして、

数時間のこの午前中の彼の道路中央の歩行に無関心な街。

どうすれば、人にやさしい、街に、なっていけるのか、

なんだか哀しくなったけど、、正月に大切な宿題を頂いた。

 

僕の両親の羨ましくない孤独死の原因は、

彼らにあった認知症の偏見だと考えている。

だから、認知症カフェの挑戦が、僕のライフワーク。

 

そんな気持ちを、新たにさせて頂けたこの出逢い。

元日に、このお父さんに出逢えたこと、感謝だ。

 

会話してて、酔っ払いの親父に逢えた気がして、

僕は正直嬉しかった。しばらく話してると、

警察官2人がパトカーで来てくれた。

 

僕の事も一応取り調べられ((笑))、

名刺を渡し、状況を申し送り、無事に、

お父さんはパトカーに乗せてもらえて、警察署へ。

多分、その後、施設に戻れただろう。

 

お正月、今日の様なお父さんにも、いつの日か、

認知症の偏見のない『ザイタク』と言う居場所が、

普通に手に入る街になりますように。

 

 

 

2025年、僕らは認知症カフェの取り組みを本格化します。

ここ三田の数人の仲間が、研修受講予定だ。

全国の素晴らしい認知症カフェモデレータの先輩方に、

またまたご教授いただきたいと思います。

 

良かったら聴いてください。

 

 

 

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Source: 兵庫県三田市の在宅療養支援診療所「たなかホームケアクリニック」

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