欧州糖尿病学会誌に発表された この論文で;
食前(30~60分前)にメトホルミン1,000mg相当を服用しておくと,「食後」の血糖値上昇をかなり抑えられることが示されました.
ただし,この実験はメトホルミンを経口服用したのではなく,1,000mgのメトホルミンを50mlの生理食塩水に溶かして,シリコンチューブ経由で 直接十二指腸に流し込んだのです. また食事を摂る代わりに,ブドウ糖の水溶液を毎分3kcalの速度で 同じくチューブ経由で60分間流し込んでいます. つまり理想的なモデル実験です.
それでは,実際にメトホルミン錠剤と 普通の食事で同じことをやればどうなるのでしょうか? それを実験してみました.
メトホルミン錠剤
2015年に 起床3時間前頃にメトホルミンをのんでおけば,ちょうど暁現象が始まる頃にメトホルミンの血中濃度が最大になるので空腹時血糖値の上昇が抑えられる,という実験を行い,江部先生のブログに報告したことがあります.
この時使ったのはメトホルミン250mg錠でした. この錠剤は まだ残っていましたが,いかんせん 有効期限が切れていました. そこで あらためてメトホルミンを入手しなければなりません. 私は 通常の健康診断では,空腹時血糖値もHbA1cも正常範囲なので,幸か不幸か メトホルミンは処方されていません. なので 個人輸入に頼るしかないのですが,以前に比べると 医薬品の個人輸入は格段に面倒になっているのですね.具体的には,厚労省が個人輸入を専門とする業者に 嫌がらせ 規制強化して,個人輸入をさせにくくしているのです. まあ 変なクスリを海外から入手して事故になっているケースも増えたからでしょうね.
ともあれ とんでもない手間をかけて メトホルミンを入手しました. メトグルコ 500mg錠です.
試験食
試験食としては これを選びました.
別に深い考えがあったわけではありません.たまたま 奥様がこのラーメンの5袋入りパックを買っていたからです.
炭水化物が63.6gです.おそろしいですね. 私は 普段インスタントラーメンは全く食べないわけではありません.ただし,そういう場合は,もったいないですが,いつも乾麺をバキッと折って 半分ほどは捨てています.さらに野菜や卵もふんだんに追加しています.
しかし,今回は実験なので,あえて このラーメンだけを 全量食べてみることにします.
結果はこの通りでした.
ピークで200をはるかに越えると覚悟していましたが,意外にも180近傍で頭打ちになっています.しかし その状態が3時間続きました.この妙な形は,多分 尿糖がダダ漏れになって それ以上上昇しなかったからだと思われます.
実際 2時間時点での尿糖は +++ でしたから.なので,この尿糖へのあふれがなければ おそらく 下図のように 血糖値は200をはるかに越えていただろうと思われます.
さて メトホルミンを予め服用しておけば,この血糖値をどうにかしてくれるでしょうか?
なお,メトホルミンを常時服用している人は 多いでしょう. であれば,ぜひともメトホルミンの服用タイミングを変えてみて,それにより食後血糖値がどう変化するかをお知らせください.これまでメトホルミンの服用を続けてきたのであれば,空腹時に服用しても副作用は起こりにくいはずです.
[続く]
Source: しらねのぞるばの暴言ブログ
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