怒涛の1年

内科医

早いもので,もう今年も終わりです.
今年は公私共に本当に慌ただしい一年でした.

まず母親.
 7月の末にドイツに住んでいる姪が京都で結婚式を挙げました.
 昨年父親が亡くなってからホームにひとりで住んでいる母はすでに90歳,それでも可愛がってきた孫の結婚式にぜひ出たいとのこと,脚力も認知能力も衰えており猛暑のなか遠方まで連れて行くのは不安でしたが,何とか母親の希望をかなえるべく万全の準備をして車で連れて行きました.
 しかし,そこからが修羅場でした.
 会場となった神社の境内に到着直後,車を降り立った瞬間転倒して顔面打撲,右手首と左膝を見事に骨折,京都府立医大病院に救急搬送.私とかみさんは結婚式に出ることは叶わず,母親の処置中にその後開かれた披露宴だけ何とか参加できたのがせめてもの救いでした.
 かみさんと義妹が2日後に京都まで迎えに行き介護タクシーで神戸労災病院に搬送,そこで約1ヵ月半の治療,ようやく9月半ばにホームに帰ったのですが,認知症が進んだせいか安静の必要性が全く理解できず,勝手に動いてなんと3日後の夜にまた転倒,そのまま同院に逆戻り.
 今度ばかりは右の大腿骨が完全に骨折していたため緊急手術,その後近隣の神戸平成病院に転院して長いリハビリを続け,ようやく歩行器で歩けるところまで回復して今月末にホームに退院となりました.
 しかし認知症はますます進み,転倒したのは神社が悪いとか,2回目の入院は私が押したせいであるとか,皆で自分に意地悪をしているのではないかとか被害妄想,暴言がひどくなり,一時は私も弟も夫婦共に精神的に疲れ果てて電話やメールをブロックせざるを得ないほどでした.

 ホームに帰ってきた母親,転倒してからの一連の出来事を全然思い出せないようですが,それはそれで却っていいのではないか,あとは過去のことに拘泥せず,余生を穏やかに楽しむことができれば幸せなのではないかと思います.

 実はサ高住に入居している義母(かみさんの母)も認知症が進行しています.すでに96歳と超高齢なものの大病とは無縁で元気な義父が圧迫骨折を起こして入院,1人になった義母は不安なのか,火事になるので危ないからといっては部屋中のコンセントを抜きまくって電話も通じなくなる有様とのことで(もちろん本人に自覚はありません),こちらはこちらで大変です.

 いつも患者さんたちには認知症の検査や対処の相談などにも乗っている立場ですが,いざ自分事となると別で,やはりえらそうなことは言えない,まだ自分たちの親の場合はホームで面倒を見てくれているだけマシだとつくづく思いました.この経験は日常臨床にも役立ちそうです(笑)

 それから今年は多くの「物」も壊れた時でもありました.
 まず電子カルテ.これは壊れたというより,保証期間が終わったため,またWindows11対応のための総入れ替えでした.ついでに院長室のパソコンも同様の理由でやむなく買い替えました.
 しかし毎度のことなのですが,その後しばらくは設定ミスや他の機器との連携不備などによるトラブルが1週間くらい続きました.当院も最近のトレンドでIT化が進み,いろいろな機器がネット回線でつながっており,プロバイダーのみならず,医療機器の会社,検査会社など様々な業者が関係しています.なのでトラブルのたびに多忙な診療の合間を縫っては異なる業者に連絡しなければならず,苦労しました.

 また診察室の私の椅子や患者さん用の椅子,動脈硬化の測定装置,迅速血液検査の装置,プリンター等も不具合で入れ替えとなりました.AEDも幸い一度も使うことはありませんでしたが,入れ替えでした.

 おまけに自宅のテレビ,パソコン,電動歯ブラシ,そして掃除機なども次々と壊れ,急遽買い替えました.

 何かの不具合が起こった時に業者が使う常套句は,耐用年数が切れた,部品がもう手に入らない,使い続けてもいいが安全面で保証できないない,です.修理の見積もりを依頼しても結局修理代の方が高くつくので買い直さざるを得ないとか,保証期間でも部品によっては保証対象ではないなどといわれることも日常茶飯事で,いつもモヤモヤした気持ちになります.

 まぁ業者のいうことも理解ができますし,新製品が売れなければ商売にならないのはわかっているのですが,まるで次の商品を買わせるために一定期間が過ぎたら遠隔操作で故意に壊しているのではないかと思われるほどの見事な壊れっぷりでした(笑)

 Windows のようなパソコンのOSも,バージョンアップなどしなくても全く困っていないと思っていてもセキュリティーを考えるとそうしないわけにもいかず,まさにこの世の中,我々庶民は日常生活の隅々までGAFAのような巨大テックに牛耳られていると実感します.

 DX化については他の世界に比べて保守的だつた医療の世界も,最近は行政の思惑も絡んで半ば強制的に導入が進み,12月からは,ついに通常の健康保険証に変わって原則マイナンバーカードによるオンライン資格確認となりましたし,電子処方箋も始まりました.
 さらに,従来紙媒体だった明細書や請求書なども次々とWebによりペーパーレス化になっていますし,学会,講習会や専門医資格の登録なども全てWeb上になりました.
 そしてこれは義務ではないのですが,当院では数年前から導入したキャッシュレス決済がかなり普及して今や3分の1くらいはカード決済となりました.

 私より上の世代の医師の中には,ITリテラシーがあまり高くなく,いまだに紙カルテ,そしてパソコンやスマートフォンの操作に不慣れな方も少なくありません.そのため近年の医療を取り巻く急激なデジタル化の流れが大きな負担となってついていけず,結果的に閉院を選ばざるを得なくなった医療機関も出ています.

 確かに,これほど急激な変化に対応するのは簡単なことではありませんが,時代の流れとして避けるわけにもいかず,しかしデジタル化による利点も多くありますから,私自身も戸惑いを感じることはあるものの前向きに取り組んでいきたいと思います.

 そんな超多忙な一年でしたが,スキマ時間を見つけてはあちこちに出かけ,趣味も楽しみました.
 ゴールデンウィークは南ドイツに,夏休みには佐賀,そして秋には北陸へ旅行しました.また今月初めには医師会主催の家族旅行に久しぶりに参加し,奈良に行ってきました.
 また大阪万博には2回,世界陸上にも初めて訪れ,大いに刺激を受けました.
 始めてからすでに四半世紀となった合気道では,何とか5段をいただくことができました.
 アルトサックスのレッスンも月3回,相変わらず下手くそですがなんとか継続,来年2月には久しぶりに大阪で発表会を行うこととなりました.
 家族,医療関係者仲間,同窓生,合気道仲間などとも機会を見つけてはプライベートで集まり,心のオアシスになりましたし,離れているので普段はそれほど直接の交流のない弟夫婦とも母親の件を通じて日頃からよく交流するようになり,慰労会も行いました.

 さて,来年はどのような年になるでしょうか?

 今年我が国はガラスの天井破って高市さんが初の女性首相となり,特に若い世代からの高い支持率を武器にスピード感と決断力で辣腕を振るってくれています.
 彼女の手法に対しては,例によってオールドメディアや左派野党を中心に批判の声が渦巻いています.しかし少なくとも,長らく停滞と閉塞感に覆われてきた日本社会にわずかながらも光が差し込み始めたと感じている国民が増えてきたことは,紛れもない事実ではないでしようか.
 今の世界情勢を眺めると,相変わらず各地で火種がくすぶり,未来への不安が消える気配はありません.
それでも,人類が幾度となく危機を乗り越えてきた叡智と理性が,憎悪や対立を抑え込み,混迷の時代に一筋の光をもたらして世界を少しでも平和で明るい方向へ導いてくれることを信じ,祈らずにはいられません.

 来年こそは,世の中が平和で皆が幸せに暮らせますように.


医師 ブログランキングへ

Source: Dr.OHKADO’s Blog

コメント

タイトルとURLをコピーしました