以前の回ではブレードの構成に踏み込んでいませんでした。
今回はブレードの構造です。
小平奈緒選手が平昌五輪で金メダルを獲得した際に使用し、その後も愛用していたオランダ・バイキング社製のブレード「サファイア(Sapphire)」は、2022年の北京五輪でも多くの選手によって引き続き使用されていました。 [1, 2, 3]「サファイア」ブレードの特徴と五輪での影響
- 革新的な構造: 従来のブレードよりも先端が数ミリ長く、刃と靴をつなぐパイプ部分にしなりが少ない特殊な鉄が採用されており、カーブでのロスを極限まで減らしています。
- 五輪での広がり: 小平選手が女子スピードスケート界でいち早く導入して圧倒的な結果を出した ことから、その性能が注目され、日本の男子選手をはじめとする世界のトップスケーター達にも広く使用されるようになりました。 [1, 2, 3, 4, 5]
その後、小平奈緒選手は2022年10月の全日本距離別選手権を最後に現役を引退しました。競技生活の集大成となった北京五輪の滑りについては、相澤病院 小平奈緒ブランドアンバサダーページ や 朝日新聞デジタル の特集記事でも詳しく振り返られています。
「自分の思いに応えてくれる」。小平が相性の良さを口にするのが、2016年末に登場したバイキング社(オランダ)の青いブレード「サファイア」だ。
国内の用具専門業者によると、サファイアは研磨した後に刃先に残る「バリ」と呼ばれる極小の突起が、従来のブレードよりもできやすい。指先で触れて引っかかりを感じる程度だが、氷をつかみやすくなる。陸上短距離選手がはくスパイクに似た効果があり、業者は「スタート時にパワーを生み、カーブでの制御もしやすくなる」と説明する。
その一方、小平の持ち味とする伸びやかな滑りも引き立てる。従来品に比べ、ブレードが靴に対して5ミリほど前方に取り付けられているため、氷とブレードの接触時間が長くなり、より大きな力を氷に伝えられるという。ミリ単位の違いだが、31歳の世界女王は「いつまでも自分の足についてくれる」と絶対の信頼を寄せる。
シーズン途中のブレード変更は異例だったが、サファイアを使い始めた昨年1月以降、好タイムを連発。現地入り後も本番会場で臨んだ記録会で、非公認ながら五輪記録を0秒23上回る37秒05をたたき出した。中距離でも地力を発揮し、昨年12月のワールドカップ第4戦は1000メートルで1分12秒09の世界新をマークして優勝した。
海外の中・長距離選手の大半が使用するタイプの新型ブレード は 小平奈緒のものとはどう違う?
海外の中・長距離選手の大半が使用するタイプの新型ブレードと、小平奈緒選手が使用していた「サファイア」は、主に「カーブでの曲がりやすさ(操作性)」と「直線での伸び・スピードの生み出し方」の設計思想が大きく異なります。2つのブレードには、以下のような特徴的な違いがあります。1. 「しなり」と「硬さ」の違い
- 小平奈緒選手の「サファイア」:
最大の特徴は、刃を支えるパイプ部分に「しなりが少ない非常に硬い鉄」を採用している点です。これによって氷を押した力が逃げず、ダイレクトに推進力へと変わります。- 海外勢大半の「新型ブレード」:
海外の中・長距離選手(特に骨格が太く、パワーのあるオランダなどの選手)が好む新型は、「絶妙にしなる(曲がる)」構造になっています。パワーを乗せたときにブレードが弓のようにしなり、その反発力で爆発的なトップスピードを生み出します。 [1]2. カーブでの曲がり方(設計思想)
- 小平奈緒選手の「サファイア」:
従来のブレードはカーブを曲がりやすくするために、最初から左側にわずかに湾曲(曲げ加工)させていましたが、これが直線でのブレーキ(ロス)になっていました。「サファイア」はしなりを排したことで、カーブでも直線でもネジれやロスを極限まで減らし、自分の技術で正確にコントロールする設計です。短距離〜中距離(500m〜1000m)で完璧な足さばきをする小平選手に最適な仕様でした。- 海外勢大半の「新型ブレード」:
中・長距離(1500m〜5000mなど)は、疲労が溜まるレース後半でも効率よくカーブを回り続ける必要があります。新型は、体重を乗せるだけでブレード自体がしなり、自然に理想的なカーブの弧を描いてくれるオートマチックな推進力を持っています。 [1, 2]3. 位置と長さのミリ単位の差
- 小平奈緒選手の「サファイア」:
通常のブレードよりも、靴に対して先端が約5ミリほど前方に長く取り付けられる構造になっています。これにより、氷と刃が接している時間が長くなり、最後のひと押しまでしっかり氷に力を伝えられます。 [1]
高木美帆選手が「合わなかった」理由高木選手はもともと、ピッチ(足の回転)を速く保ちながら自らの感覚で細かく氷を捉える、小平選手に近い職人肌のスケーティングを持っています。 [1]海外選手が好む「新型ブレード」に変えたところ、機材が勝手にしなってスピードを出してくれる反面、レース終盤に足が疲れてくると自分の感覚で氷をコントロールできなくなり、結果として「ラスト1周での大失速」に繋がってしまいました。そのため、ミラノ五輪直前に「自分の力加減が100%伝わる、使い慣れた元のブレード」へと戻すことになりました
高木美帆が戻したブレードは 小平のモノとはどう違う
高木美帆選手が「自分に合う」として最終的に戻したブレードは、オランダ・バイキング社製の「Nagano Sprint(ナガノ スプリント)」というモデルです。 [1]小平奈緒選手が愛用していた「Sapphire(サファイア)」(同じくバイキング社製)とは、メーカーこそ同じですが、「ブレードの取り付け位置」と「氷を捉える目的(短距離用かオールラウンド用か)」において明確な違いがあります。 [1, 2]1. ブレードの取り付け位置(前方の長さ)の違い
- 小平選手の「サファイア」:
通常のブレードに比べて、靴に対して先端が約5ミリほど前方に長く飛び出す構造になっています。これにより、氷と刃が接地する時間が長くなり、最後のひと押しまで強いパワーを伝え続けられます。- 高木選手の「ナガノ スプリント」:
標準的な位置にブレードが配置されています。そのため、小平選手のサファイアほど前方が長くなく、足元の小回りが利きやすい(ピッチを上げやすい)設計になっています。 [, 2, 3]2. 対象とする距離と設計思想の違い
- 小平選手の「サファイア」:短距離特化型
主に500m〜1000mのスプリンター向けに開発された青いブレードです。スタートダッシュで爆発的なパワーを氷に伝えるため、ブレードの「バリ(研磨した後に残る微細な突起)」が出やすく、氷をスパイクのようにガッチリ掴む特徴があります。- 高木選手の「ナガノ スプリント」:オールラウンド型
15年以上前から存在し、現在はすでに製造停止しているクラシックな名器(黒いメッキが特徴)です。500mから3000mまであらゆる距離を高い次元でこなす高木選手にとって、「自分の体の一部」のように最も素直に、過不足なく氷の感触をコントロールできる定番の設計になっています。 [1, 3, 4, 5]まとめ
この時点で色々ハッキリしましたね。高木美帆選手は小平の「サファイア」は使えなかったと思います。
取り敢えずこの辺で。
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Source: 身体軸ラボ シーズン2



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