FIREは暇と孤独で狂うのか?

その他ドクター

 

少し前、FIRE(Financial Independence, Retire Early)という言葉が流行ったことがある。

要するにアーリーリタイアのことである。

 

ただし通常のリタイアとFIREの違いは、資産運用を前提としていること。

投資元本を蓄財し、“運用益で生活できる”目途が立った段階でリタイアするのである。

 

しかしFIREを達成して早期リタイアをした人が、会社員に出戻りをするケースも少なくないらしい。

 

その理由は「暇を持て余してしまう」から。

 

実際のところはどうなのか。

自分も以前、無職の期間を経験したので、そのときのことを書いてみる。

 

暇を持て余すのか

 

医局を辞めてから、フリーランス医としての仕事が本格的に始まるまでのしばらくの期間、完全に自由な時間を手に入れることができた。

皮膚科医のフリーランス体験記①準備編

フリーランス医師。

それは特定の医療機関に所属せず、非常勤やスポットの勤務で生計を立てている医師のことである。

フリーランスの魅力は「勤務医よりも高給かつ自由度も高いワークスタイル」とされている。

実際には…

 

退職後の1週間のことは今でも鮮明に覚えている。

電話も、予定も一切なく、誰にも会わず一人きりで過ごす完全に自由な時間。

誰にも干渉されず、時間はたっぷりある。

その圧倒的な開放感に酔いしれていた。

 

そしてやりたいことはたくさんある。

読みたい本、マンガ、観たい映画、やりたいゲーム。

いままで積んできたコンテンツの消化である。

ところがここで一つの問題が浮上する。

 

時間はいくらでもあるのに、集中力が続かない。

コンテンツを消費する体力が衰えているのである。

 

大学生のときは、1日中ゲームや漫画に没頭することができたが、今は2~3時間が限度。

 

さらにコンテンツに昔ほど感動できなくなっていた。

 

はじめて「十角館の殺人」を読んだときの驚き。

はじめて「メタルギアソリッド」をプレイしたときの興奮。

はじめて「シュタインズ・ゲート」を見たときの感動。

そんな気分はもう味わえないのだろう。

 

京大卒のニートPhoさんも「パーティーが終わって中年が始まる」で同じようなことを語っていた。

本を読んでも音楽を聞いても旅行に行ってもそんなに楽しくなくなってしまった。加齢に伴って脳内物質の出る量が減っているのだろうか。

 

暇はもてあまさないが、有効活用はできないというのが実際であった。

コンテンツは若いときにたっぷりと消費しておく必要がある。

老後の楽しみとして積んでおくのは愚策と言えるだろう。

(「こちら葛飾区亀有公園前派出所」第104巻より)

 

孤独に耐えられないのか

 

リタイアすると孤独に耐えられないという話もあるようだ。

自分は一人が好きで、孤独の耐性はあるので、寂しいということはなかった。

 

しかし誰にも会わずに、社会的に孤立している状態については危機感をもった。

 

かなり前に話題になった貧困高齢者を扱った書籍「下流老人」によると、下流老人の定義は以下の3つ。

 

下流老人の具体的な指標

  • 収入が著しく少ない
  • 貯蓄がない
  • 頼れる人間がいない(社会的孤立)

 

金銭的貧困だけでなく、人間関係の貧困も下流老人の定義の一つとのことである。

このような社会的孤立は孤独死の原因でもあり、社会問題になっているようだ。

特に男性高齢者は孤立する可能性が高く、2週間に1回しか人と話さない人が約20%もいるらしい。

 

一人暮らしの男性高齢者の会話頻度

  • 毎日:50.1%
  • 2~3日に1回:20.4%
  • 1週間に1回程度:12.8%
  • 2週間に1回以下:16.7%

「令和3年度 高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査」

 

自分も会話が2週間に1回以下、まさにこの社会的孤立の状態になっていた。

コンビニ店員とのやり取り以外、誰とも話す機会がない。

コンビニの店員を交わす「お弁当温めますか?」というやりとり以外、誰とも話す機会がないという方も多い。

 

孤立しないために多くの人との関係性を築けとのことだが、そんなのやりたくない。

高齢期に孤立する前に、なるべく多くの人と助け合いの関係性を築いておければ、生活困窮に陥ってもさほど苦しくはならない。

 

このまま行けば確実に下流老人の仲間入りというわけである。

 

中年男性の危険性

 

加えて問題になるのは居心地の悪さである。

 

中年の男が独りで昼間からうろついていると不審者みが強い。

公園などに行こうものなら通報される可能性すらある。

 

Phoさんも「パーティーが終わって中年が始まる」で同じようなことを述べている。

中年は存在しているだけでうっとうしく、危険な存在なのである。

中年になると、存在しているだけでうっとうしさが発生してしまっている気がする。

 

中年以降の男性がだらしない格好をしていると、なぜ危険な雰囲気になってしまうのだろうか。

周囲を怯えさせてないためには、ある程度こざっぱりさを身につける必要があるらしい。

 

なかなか生きづらい世の中である。

 

その中で見出したのは登山である。

登山は中年の男が独りでいても不審者扱いされないので、よい趣味だと感じた。

 

まとめ

 

無職(FIRE)生活を体験したが、一般的に言われている暇と孤独は気にならなかった。

しかし自分の老化と社会的貧困の問題を実感させられることとなった。

 

今後、定年退職したら孤独死一直線、結構マズいことになりそうである。

仕事はなるべく続けておいたほうがよいのかもしれない。

 

また高齢男性は生活能力が低いことも問題視されている。

妻よりも夫のほうが著しく生活能力が低いのである。

妻は月15万円の生活費でも暮らしていける方が多いが、夫の場合なほとんど絶望的と言ってもいい。

 

今後に備えて、少なくとも料理スキルなどの生活能力を高めておく必要はあるのだろう。

色々学ぶことが多いサバティカルタイム(モラトリアム期間)であった。

皮膚科医のフリーランス体験記①準備編

フリーランス医師。

それは特定の医療機関に所属せず、非常勤やスポットの勤務で生計を立てている医師のことである。

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実際には…


皮膚科医のフリーランス体験記②仕事編

前回までのあらすじ

当初目指していた研究の道は断念

その後、総合病院へ移り管理職となるが、そこでの仕事にも適応できなかった。

そして大学へ戻ることも叶わず、キャリアは閉じてしまった。


皮膚科医のフリーランス体験記③スモールビジネス編

前回までのあらすじ

当初目指していた研究の道は断念

その後、総合病院へ移り管理職となるが、そこでの仕事にも適応できなかった。

そして大学への帰還を画策するも叶わず、キャリアが閉じてしまう。


Source: 皮膚科医の日常と趣味とキャリア

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