【最も頻繁に起きる合併症】
・心血管、肺および筋骨格系の不良
・拘束性肺疾患(肺の容積減少に伴う肺活量の減少)
・うつ病、不安、心的外傷後ストレス障害(PTSD)といった情動障害
・重症疾患多発ニューロパチーや重症疾患ミオパチーなどの集中治療後症候群
・その他の神経学的影響、脳症、脳卒中、脳低酸素症
・少なくともリハビリ初期段階での急性錯乱状態
・ 倦怠感
・ 認知症
【頻度は少ないものの、共通してみられる合併症】
・血栓塞栓症、心筋梗塞、脳卒中、肺塞栓症
・筋骨格の痛みと不快感
・精神病
・ジスキネジア(運動障害)
・PRES(可逆性後頭葉白質脳症)
・心筋症
筆者:新型コロナウイルス感染による炎症とサイトカインストームによる免疫系の暴走、そして血栓塞栓症が起きるメカニズムについて教えて下さい。
基本的にウイルス性肺炎がひどくなってサイトカインストームが起きて肺炎が悪化、全身にサイトカインストームがひろがり多臓器不全に発展すると理解していましたが、それでよろしいでしょうか。
大津教授:それで正しいです。重篤な感染症が起こると血栓塞栓症が起こるのは新型コロナウイルスだけでなく一般的です。がんでもなります。
サイトカインによって、あるいは障害を受けた臓器成分によって白血球や血小板が活性化され血管内皮が障害され血栓塞栓が全身に形成されます。これを播種性血管内凝固症候群(DIC)と言います。
新型コロナウイルスの場合はこれに加えて内皮細胞にACE2という入り口になる分子が存在するので内皮障害に関係している可能性もありますが、まだ分かっていません。
筆者:重い後遺症が残るのは血栓塞栓症が起きた場合で、その後完全に回復するのは難しいのでしょうか。
大津教授:脳細胞や心臓の細胞は再生できません。いったん虚血そして壊死になるとその部分の機能がなくなります。
心臓ですとその部分が大きければ最初は小部分であっても拡大して心不全が進行することもあるでしょう(心筋梗塞と同じです)。脳だと麻痺が残るでしょう。
肺だと肺細胞が死んで線維化組織に置き換えられると線維化(筆者注:壁が厚く硬くなること)は治りませんから、呼吸困難がそのままあるいは進行もあり得ます。原因がなんでも一般に間質性肺炎はそうです。
腎臓もそうです。組織に線維化が残ると同じです。新型コロナウイルスに限らず心筋梗塞でも肺線維症でも普通の脳梗塞でも肝硬変でも同じです。
筆者:恐ろしい病気ですね。かからないのが一番で、かかるとすぐに治療を受けることが大切ですね。
大津教授:そうですね。肺炎と考えるのではなく全身疾患ととらえてモニターするのが大切だと思います。医者は重症感染症やがんの時には当然、頭にあります。
Source: 身体軸ラボ シーズン2
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