どうも、ヨウ-P(@s_y_prince)ことYO-PRINCEです!
いろんな切り口からカイゴのヒントをお届けしています!
今日はこちらのツイートの解説をしたいと思います↓
認知症の方のお皿洗い
ちゃんと洗えてないから任せちゃいけない?
完璧じゃなくても役割として任せるべき?どちらも正解⭕
考えるべきは任せ方☝️お皿が少ないほうが混乱がない?
ゆすぐだけなら完璧?本人も職員もストレスの少ない方法がいい!
それが真の役割#介護にまつわる小さな引き出し— ヨウ-P🍕介護男dism (@s_y_prince) 2020年5月18日
認知症の方に得意なことをしてもらうことはとても大切なことです。
ところが、認知症がゆえに出来ることを任せても不十分なことがありますよね。
そんなとき、どう考えて、どう行動するべきかについて書いていきたいと思います。
分かりやすく説明するために、「家事」で考えていきたいと思います。
どんな「家事」でも考え方は一緒なので、ツイートに基づいて「お皿洗い」に絞って考えてみましょう!
うまくいくヒントは「任せ方」です。
- 出来ることや得意なことをしてもらうことの大切さ
- 一部が「できない」ことで「できる」家事を任せられない認知症の現実
- 家事を任せられない理由とは??
- 皆にとって負担のない方法を選ぶことが真の「役割」だ!
- 認知症の方に「家事」を真の役割とする実践例
- まとめ
出来ることや得意なことをしてもらうことの大切さ
認知症の方にもできることはたくさんあります。
昔取った杵柄で、得意なことを上手にされる認知症の方は多いものです。
認知症になると、どうしても見た目で判断しちゃいがちなんですが、得意なことを任せてみると何の介助も必要とせずにされるようなことは介護現場ではよくあることです!
編み物や裁縫を上手にされたり、しまいには針の糸通しまでされます(^_^;)
そんな方をたくさん見てきました。
そして、今回ツイートさせてもらった「お皿洗い」。
女性の方なら認知症になっても続けやすい「家事」の一つです。
認知症になってできなくなってしまうことが増えていくなかで、出来ることを続けてもらうことが、その人の「役割」となり、「生きがい」となります。
そして、“受け身”ではなく「主体的」に活動できる機会は、認知症の方にとって有効な「リハビリ」となります。
それが、「元気」の源となり、「ADLの維持」にもつながっていきます。
認知症の方が「お皿洗い」や「裁縫」といった複雑な動作が何故できるかと言うと、「手続き記憶」が保たれているおかげなのです。
「手続き記憶」については、以前こちらの記事でも触れたことがあります↓
「手続き記憶」とは、仕事の手順等の記憶のことで、「記憶」のなかでも比較的遅くまで保たれている記憶です。
長年「お皿洗い」をしてこられた方は、認知症になっても「手続き記憶」としてその手順が記憶されているわけです。
短期記憶障害や見当識障害でできないことが増えてしまった生活に彩りを加えるには使わない手がないですよね!
というわけで、早速認知症のおばあちゃんに「お皿洗い」を任せてみましょう!
あの―…、お皿洗いしてもらってるんですが、途中からゆすぐだけになってしまうんです…。
これでは任せられないです…。
そうなんですよね…。
現実は、こんなことが多々あるわけです…(-_-;)
一部が「できない」ことで「できる」家事を任せられない認知症の現実
すみません!
花子さ~ん!
お皿洗い手伝ってもらえますか?
いいわよ~!
フンフン…フン~♪
あっ!花子さん…。
すみません、それじゃなくて…この洗剤使ってもらえますか?
そうなの?
こうするの?
いや…違うんですよ(^_^;)
こうです!
ハイハイ~!
後は大丈夫よ~!
(大丈夫かな~…。)
あっ!
それ、ゆすぐ前に洗ってもらえますか!?
洗ったわよ~♪
(いやいや…洗ってなかったやん…(-_-;))
認知症の方に「お皿洗い」を任せてみると、こんなことってありますよね(^_^;)
洗ったりゆすいだりができていても、部分的にできないことや分からないことがあるからずっと見ていなきゃいけないようなことよく起こります。
そして、職員はイライラしてしまったり、結局自分で洗う以上の手間がかかってしまったり…。
挙句の果てには、「お皿洗い」をしてくれた方をもイライラさせてしまうこともあると思います。
これでは、認知症の方の役割支援というステキなケアも台無しです。
では、どうしたらいいのでしょうか?
まずは、認知症の方に「お皿洗い」を任せられない理由を考えてみましょう。
家事を任せられない理由とは??
引き続き「お皿洗い」で考えていきます。
認知症の方に「お皿洗い」を任せたときに障害となるのは以下の3つと捉えて、「お皿洗い」を任せられない理由を考えていきたいと思います。
- これまでの環境との違い
- 部分的にできないことがある
- 介助者がイライラしてしまう
これまでの環境との違い
これが一番大きな弊害と言えるかもしれません。
認知症の方に「お皿洗い」を任せるときに、これまでしてこられた「お皿洗い」の環境とは大きく違うということを知っておかなければいけません。
洗剤の種類、スポンジの形状、シンクの形状、蛇口の形状、お皿の置き場所などなど…。
あげればキリがないぐらいの環境の違いがあります。
認知症の方の「手続き記憶」は、これまで生活してこられた環境のなかで「手続き記憶」です。
これは、認知症に限らず私たちだって同じことですよね。
友達の家や職場でお皿洗いをしようと思った時に、洗ったお皿をどうしておけばよいかや洗剤がどこにあるか等で迷うことがあると思います。
認知症の方は、新しいこと覚えられないので、一度確認しても都度確認しないと分からなくなってしまうことがあるため、環境の違いは大きな混乱を招きます。
なので、「家ではお皿洗いをされている」という情報があったとしても、環境の違いでできないことは多々ありますし、任せることで認知症の方のストレスにつながってしまうようなことも多々あるわけです。
部分的にできないことがある
「手続き記憶」と言えど、いつまでも保たれるというわけではありません。
認知症の進行のなかで、失われていくことが当然のことながらあります。
洗うことは分かっていても、ゆすぐことがどうしたらいいか分からない…なんてこともあります。
何度も何度も洗おうとしてしまうこともあるかもしれませんよね。
障害となるのは記憶だけではありません。
身体的な理由でできなくなることもあります。
手に力が入らなくて洗うことが上手く出来ない…なんてこともあります。
「お皿洗い」等の家事は複雑な複数の動作の連続で成り立っているので、部分的にできないことが「できない」と判断されてしまうことが多いんです。
介助者がイライラしてしまう
前述の介助者と認知症の方のやりとりの通りですが、介助者が認知症の方の洗い方が「十分でない」ことにイライラしてしまうようなことがあります。
そんなの、イライラしなくてもいいじゃないですか?
ちょっとぐらい洗えていないのは認知症だし仕方ないことですよ!
いやいや、皆に使ってもらうお皿が不十分にしか洗えていなかったら嫌やんか?
そんなお皿使いたいか??
こんな感じで職員間でのイライラにもつながったりもします。
こうした介助者のイライラは認知症の方に伝わってしまうんですよね…。
認知症の方のペースに合わせられなかったりすると、認知症の方は通常の力を発揮できないこともあります。
認知症の方にとっては人的環境の影響も大きいのです!
皆にとって負担のない方法を選ぶことが真の「役割」だ!
冒頭にも触れましたが、認知症の方に「お皿洗い」等の家事をしてもらうとき、それを認知症の方の「役割」として任したほうが認知症の方の心の安定にもつながるので、「役割」という意識を忘れてはいけません。
ところが、認知症の方に「家事」を任せたときの現実は、ここまでで書いてきたとおりたくさんの障害があります。
認知症の方は環境の違いでストレスを感じているかもしれません。
部分的に能力が失われストレスを感じているかもしれません。
そうした状況のなか、介助者側もイライラしてストレスを感じます。
介助者側はこの現実をしっかりと受け止めるべきと私は考えています。
介助者側が「認知症予防だ!」「役割だ!」と言って、認知症の方の能力をアセスメントすることなく押し付けてしまっていないか?
介助者側のイライラが認知症の方に与えてしまっている影響に気づけず、介助者側のイライラをそのままにしていないか?
そんななかで家事を任せたところで、うまくいくはずがありません。
認知症の方も介助者もストレスができる限り少ない方法で「役割」作りをしたほうが絶対にうまくいきます!
「お皿洗い」で言えば、とりあえず認知症の方に洗ってもらって、後から職員が洗い直しをするような方法がとられることがありますが、その方法はいいんでしょうか!?
残念ながら、この方法では一部の職員はきっと納得してないでしょうね(-_-;)
こんな忙しいのに!
こんなんやったら最初からこっちでしたほうが早いやん!
おっしゃるとおりで、ぐうの音も出ません(-_-;)
「家事」を真の「役割」とするためには、前述の3つの「家事を任せられない理由」をもとに、まずは現状をしっかりと把握し、それぞれがストレスのない任せ方を考えるしかありません!
では、最後に私のした実践例をまとめておきます。
認知症の方に「家事」を真の役割とする実践例
認知症のAさんは、家ではお皿洗いをされています。
デイサービス利用中もお皿洗いを手伝ってくれようとします。
何か手伝ってもらわないと、帰ろうとされることもあります。
というわけで、お皿洗いを「役割」としてAさんにしてもらおうということになったのですが、日によってお皿洗いをしたりしなかったりの状況だったのです。
そこで、こんな実践をしました。
まずは現状把握
チームでお皿洗いをしてもらおうということになってはいたのですが、職員それぞれにAさんへの任せ方が違いました。
そこで現状把握です!
私は普通に任せてますけど、お皿じゃないものも洗われるので…実は気になってます(-_-;)
たくさん洗ってもらうのは時間もかかるしAさんに負担だと思うので洗う量の調整はしてます。
お皿を洗わずゆすぐだけになってるときもあるので、こっちで洗ってからAさんにゆすぐのを任せてます。
洗っても、もう一回洗ってみたり、いつまでも洗っていることがあるんですよね~。
任せると思うようにしてもらえないので、なかなか任せずにいます。
このように、現状はバラバラ…。
その背景には、職員それぞれのアセスメントの違いがあるんです。
アセスメントして真の「役割」を!
お皿洗いはどうもちゃんとできていない…ことが見えてきました。
洗えていなかったり、違うものまで洗われたり…。
量も多くなると、洗うことにこだわってしまい、長くかかってしまうことも見えてきました。
そうなると、職員も声をかけたり見守らなきゃいけなくなる状況も見えてきました。
これらのアセスメントで見えてきたものをもとに、職員がどこまでして、Aさんにどこからしてもらうのかを決めていきます。
結論としては、以下のとおりです。
- 半分は職員で洗ってゆすぐまで済ませる。
- 残り半分を職員が洗うまでしておく。
- Aさんにはゆすぐことをしてもらうが、洗い直してもらってもかまわないことにする。(Aさんのペースでしてもらう)
Aさんの「役割」は半分のお皿のゆすぎだけになってしまいましたが、職員もAさんもストレスなくお皿洗いを役割分担してすることができ、同時に職員間で納得できる役割支援になったおかげで、その「役割」が毎日継続されAさんの日課となりました。
これぞ真の「役割」支援なのです!
ちなみに、この事例で家でのお皿洗いの様子までアセスメントできれば、もっとAさんの「役割」は広がったかもしれません。
できることは、まだまだあるはずということですね!
まとめ
認知症ケアでは、利用者の「役割」を考えることは重要な支援の一つです。
もちろん認知症ケアに限らずですが、とりわけ認知症ケアにおいては重要なわけです。
認知症ケアにおいては、せっかくの「できる役割」が「できない」とレッテルが貼られることが多くあるからです。
そこには、認知症の方ができることがあったとしても不十分にしかできないことが背景にあるわけです。
不十分にしかできない…それは事実であることが多いと思います。
なので、職員がそう思うことは悪いことではないんです。
「お皿洗い」で言えば、認知症の方に任せてお皿が不衛生なことがあれば、それは問題と捉えるべきなわけですから。
大事なのは、そこからしっかりとアセスメントすること。
そして、アセスメントをもとに真の「役割」となるような「任せ方」を模索することなのです。
表面的な「役割」ではなく、真の「役割」を追い求めることで、まずは認知症の方も職員もWIN-WINの「役割」分担をしたいものですよね!
真の「役割」作り!
難しいことかもしれませんが、やってみると意外と簡単にいい結果が出るものですよ!
Source: すべての道は介護に通ず【暮らしかるモダンなブログ】
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