「コロナをネタにすると、周りの反応が良かったんですよね。仕事でもプライベートでもコロナ一色、コロナって言っておけば会話は繋がるし、相手の反応もある。コミュニケーションになると勘違いしてました……」(S氏)
S氏の部下によると、S氏は普段から「ホラ吹き」癖があり、自分は元暴走族だから上司と喧嘩してもぶちのめす自信がある、だの、親族に裁判所関係者がいて、こんなちっぽけな会社などすぐに潰せる、だの部下に吹聴していたという。事件は4月上旬、S氏が叱責された上司のグチを、部下にクドクドと話している時に起きた。
「俺はコロナだから(自分を叱責した上司にも)移ったに違いない、と話された部下が驚いてその上司に報告。上司は激怒しつつも、本当に移ったら困ると、重要な社内会議を欠席せざるを得なくなったのです。この会議も、コロナ禍に社としてどう対峙していくかというもので、会長から役員にまで話が広まった。普段ならS氏のいうことなど話半分、上司だけでなく部下からも相手にされることが少なかったのですが、コロナと言われれば冗談にはなりにくいですよ」(S氏の部下)
これらの事実をS氏に直接確認すると、次のような答えが返ってきた。
「言葉のアヤといいますか……。そう言えば相手が怯んだり、尊敬されるかなと思うじゃないですか。コロナの件は、咳をしていた部下にコロナじゃないのか、と言ったらみんなが笑ってくれたんで、俺がコロナだと言えばもっと面白いのかな、と。芸人さんでも不謹慎なネタをやる人は人気があるが、そういうのが皆さんに伝わらなかった。いや、私はコロナじゃないです、本当に! 違うんですよ! 誰も信じてくれないし、オーバーすぎる」(S氏)
この「そんなつもりはなかった」「ウケると思った」「コミュニケーション」になるというS氏が説明するコロナ発言の理由は、セクハラやパワハラをコミュニケーションになるから良かれと思ってやったことで、決して自分に悪気はないと言い訳する加害者のパターンにそっくりだ。ということは、警察や職場の上司に指導されたから大人しくするが、しばらくすると類似の騒ぎを起こしてしまう可能性は高い。
S氏は結局、そのまま二週間自宅待機を会社に命じられ、夏からの減棒と配置転換という名の「左遷」も命じられた。周囲を混乱させたにもかかわらず、いまだに周囲にも責任があると今も信じて疑わない姿勢は、やはりセクハラパワハラを繰り返す人々に通じるものがある。当然S氏を哀れむものは社内にはゼロ、もっと強い罰を与えるべきだと言う声が相次いでいるが、情状酌量の余地はないとしか言えない。
Source: 身体軸ラボ シーズン2
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